今日は本来なら休日の予定だったのですが、人が足りないとかで急に出勤になってしまいました。
その気晴らしにと、モーニングで観てきました、『ヤッターマン』。
微妙だろうなと、ハードルを下げていたから余計にそう感じたのかもしれませんが、
とても楽しかったです。
とりあえず詳しいレビューは明日、仕事から帰ってからこの続きを書きたいと思います。


で、ここから↓は改めて14日に書き加えた分です。ネタバレもしています。


私は『タイムボカン』シリーズの直撃世代です。タツノコプロは輝いていたブランドですね。アニメに対して眼が肥えてきた時期に接した『ヤットデタマン』『イッパツマン』の方が好みの作品ではあるのですが、『ヤッターマン』は純粋な小学生目線で好きでしたね。平成版『ヤッターマン』は何度かたまたま機会があった時に観た程度。ペリカンがスマートになってカッコイイくらいの印象しかありません。
一方、実写映画版の三池崇史監督。所謂「暴力系」の作品がこの監督の味だと思うのですが、そちらは全く観ていないのです。一般的な評価は低いかもしれませんが、『ゼブラーマン』『妖怪大戦争』は好きです。『ウルトラマンマックス』や『ケータイ捜査官7』での仕事もなかなか個性を出してましたし、「特撮系」の作品には相性が良い監督だという印象があります。
とは言え、『ジャンゴ』は微妙な出来だと思いましたし、最近多いアニメやマンガの実写化作品は中途半端に納まる事が多いので、ハズレかなと思いましたね。主役がジャニーズで、ドロンジョ様もイメージと違って、TV局と芸能事務所が主体のぶち込み企画だろうと、観る前の印象は良い物ではありませんでした。


ところが冒頭、廃虚の渋山ハッチ公前でいきなり魅せる。実写だからと言ってリアル指向にするのではなく、あくまでアニメ的演出。CGとワイヤーアクションを多用してのバトルは、ジャンル作品を多く手掛けた監督には撮り慣れているのかもしれません。
作品全体で見ると2時間弱の中にメカ戦が3回。ドクロストーンは1個目から4個目まで全て集まり、ドクロベエとの決戦まで描く。ヤッターワンの大破とヤッターキングの登場。ドロンジョ様の恋愛。とにかく時間一杯とことんゼイタクに詰め込まれ、最後まで疾走した作品だった。


配役に関して。
主役のヤッターマン2人は印象が薄い。可愛いんだけどね。誰が演じても同じだったんじゃないかと思う程、役者の個性が出ていなかったと思うのだ。いや、アイちゃんは可愛いと思うよ。でも、ほとんどのシーンで帽子と仮面によって表情が殺されてしまって、動きもCGとワイヤーアクションに見せ場を取られてしまっている。だから可愛いとしかコメントが出てこないんだよね。
深田恭子ドロンジョ様。事前に配役を知った多くの人がミスキャストだと思うだろう。個人的にもイメージを重視するなら杉本彩及川奈央なのだけど。妖艶さは薄れていて、表情が可愛いのと、ネイルアートと、恋愛エピソードなどで少女っぽさが強調されていたと思う。セリフなども小原ドロンジョ様に近づけようと役作りしている頑張りは感じるが、何と言うか、世間の裏も表も知り尽くした様なしたたかさは感じない。イメージ的には、落ちぶれた名家の「お嬢様」が、元使用人と一緒にドロボー稼業…の様な。あれ? どれかの作品の三悪人で、そんな設定があったよね? と、しばらく考えて気がついた。『タイムボカン』シリーズじゃなくて『ふしぎの海のナディア』のグランディスだ。この深田ドロンジョ様も、経験を重ねれば小原ドロンジョ様になるだろうなと。
トンズラー役のケンドーコバヤシ。こちらは本人のまんまかな。キャラとキャストの差がそれほど感じないので、こういう感じだろうなと予想していた通り。意外性も無いがハズレ感も無い。アチコチで小芝居をイロイロと披露しているので飽きない。こういう作品のキャラとしては合格点だと思う。
そして、ボヤッキー役の生瀬勝久。ある意味、真の主役。何だ、このやりすぎな役作り。表情一つ、ポーズ一つ、全てが愛らしい程にボヤッキー。彼の演技だけでも観る価値はあるんじゃないか。DVDが出たらゆっくり細かくチェックしたい程です。
ドクロベエはイマイチかな。阿部サダヲ演じる考古学者に乗り移った第2形態はひたすら不気味なんだけど、作品の中で異質に感じた。小さい子にはトラウマになるんじゃないかと思う。アニメに近い第3形態はCGだったけど、画面から浮いていた感じ。
考古学者親娘は、調味料という点では良かったと思う。娘の方を見てると、監督は女の子をイジメるのが好きなんだろうなと感じた扱い。
扱いと言えば、娘がサソリ毒にやられた場面。ガンちゃんのアイちゃんへの態度はヒドすぎ。彼女は大事にしようよ。


マイナスだと思った点。
作品全体的に色調が暗い。バトル場面が廃虚、遺跡、要塞とダークさ炸裂な上、ヤッターワンが赤。キングがくすんだ銀と暗さを強調するカラーリングなのも大きい。作品の方向性から、もっと明るくポップでも良かったんじゃないかな。
ヤッターワン&キングは無機質で動物メカさを感じない。白眼で表情が死んでしまっている事と、有機的な動きを前提にデザインされていないからだと思う。ビックリドッキリメカもドロンボーメカも活きがあって魅力的だっただけに残念。
ヤッターワンが大破する経緯も不満。この展開をするなら、それ以前にヤッターワンのキャラ性を描き込まなきゃ。
ドロンジョ様の恋愛エピも少し引っ張り過ぎた感がある。
後は上でも書いたけど、ヤッターマン2人の薄さとドクロベエの濃さかな。結果的にドロンボーが目立つ事になっているんだけど。


総括すると、ホントに楽しめた作品。娯楽性が高いので春休み興行としてはピッタリだと思う。
反面、アニメ版を知らない人は十分に楽しめないのではないか。アニメ版の再現に比重が置かれた作品だから、元ネタを知ってこそだと思う。そこを外すと、画面がゴチャゴチャしていて、下ネタだらけの下品な映画でしかない。ジャニーズ目的もあるか。
昭和版直撃世代の中年か、平成版を楽しみにしている子供たち。その組み合わせの親子。そうした層向けとしてオススメできます。
まぁ、下ネタに関しては親子連れは気まずいんじゃないかと思うけど。
パンフでセットや小道具のスチールが見れるのだけど、画面じゃ確認できないレベルで無駄に懲り過ぎ。「どくろ鮨」の湯飲みとか醤油瓶とか。醤油瓶にはドクロのカップルの48手図とか(笑)。


画像はパンフと衝動買いしたミニタオル。パンフのYマークはパンツに見えるね。