ウォッチメン』を観てきました。
原作は未読。『スポーン』が流行ってた頃に翻訳が出版されていたのは記憶にあるけど、ぶ厚くて高かったのでスルーしてたんだよね。今年になって再販したけど既に品切れ、オクやマーケットプレイスではバカみたいなプレミアで出品されてる。もうじき増刷されるらしいので、それに期待してます。


で、観賞。事前に雑誌で簡単な世界観だけは仕入れておいた。まぁ、その辺はOPでザッと理解できる。
舞台は1985年。ベトナム戦争には勝利した設定のアメリカ。スーパーヒーローたちは条例により活動を禁止されている。みんな思う事だけど『Mr.インクレディブル』はこの作品の影響を受けていたのかな?
そんな中、コメディアンという元ヒーローが殺害される。「ヒーロー狩り」? その黒幕は一体誰なのか…というミステリー性に、米ソ核戦争の危機がからむ。


個人的にはすごく良かった。原作知らなくても十分に理解できたし。ただ、これは私がジャンル映画を結構観慣れているのと、核戦争危機の時代を実体験しているからかな。キャラの背景や心情は積極的に読み取ろうとしないと気付かないで流されちゃうかも。上映時間も2時間45分なので、作品に入っていけないでダラダラ観る姿勢だと厳しいかもね。私は夢中になっていたので2時間くらいの感覚でしたけど。
キャストは知らない名前ばっかりで、経歴を見ても思い出せないレベルの人ばかり。看板になる様なスターは全く出ていません。
ヒーロー物としてのアクションも、可も無く不可も無く。ただ過激なバイオレンス描写は多いです。例えば私服でいる時に路地でチンピラ集団に襲われるシーンがあるのですが、返り討ちどころか過剰防衛。一般人に手加減できない時点で、そりゃ活動も禁止されますわ。
それと、大人向けの作品性なので暴力だけでなく性描写もあります。ベッドシーンは3回だったかな? それぞれにちゃんと意味があるのですけど、長く感じたなぁ。
Dr.マンハッタン、人間性とか感情が希薄なキャラ。、TV出演はスーツ着たり、最初はサポーターで隠しているんだけど、中盤から完全に全裸で「ちん○」丸出しなの。しかも微妙な形がはっきり見える。そこは人間らしさを残しておこうよ(笑)。
好きなキャラはロールシャッハだな。素顔がランス・ヘンリクセン似で悪人顔。性格もイカレてるんだけどね。
あと、コメディアンも好き。こいつもカオスなんだけど、いいキャラだと思う。部屋中に初代シルクの写真やポスターがあったり、シルクのコスチュームカラーである黄黒のスマイルバッチを身につけていたり、人間的だよな。だからこそ純粋なヒーローとして生きられなかったんだろう。人間性を捨てたマンハッタンと対称的。


私は楽しかったんだけど、一般人には受けないでしょ。『ダークナイト』もそうだったけど、日本でヒットするには『スパイダーマン』みたいにわかりやすい恋愛をからめないと無理。ストーリーも単純ではないし、大物スターが出ているのでもない。パッと見、『バットマン』や『Xメン』のパチモンにしか見えないしね。
上映時間の長さもネック。残酷描写もカップルや家族連れには不向き。ヒットする要素が無いわ。もったいないなぁ。
夏には25分追加されたディレクターズカット版が全米公開、DVDにはさらにシーン追加とか。日本でもリリースしてほしいなぁ。