鴨川ホルモー』、観てきました。平日の朝イチ。客は私を含めて6人でした。
全くノーチェックだった作品で、最初に知ったのは確か『ヤッターマン』を観た時の予告だったと思う。
CGで表現された大量の妖怪のバトルと、登場人物たちの奇声と奇抜なポーズ。まぁ、インパクトはありましたけど、私に対する牽引力はまだまだでした。しかし、この「ゲロンチョリー!」と叫んでいる地味な眼鏡娘が栗山千明だと知って、噴きました。


舞台は京都。四神の名を冠する集団が、お互いの使役する式神を戦わせる神事「ホルモー」が千年も続いていた。そのホルモーによって神々を鎮め、京都の安寧を守ってきたと。現代において、その神事を継承するのが京都大学青竜会立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックス京都産業大学玄武組。主人公たちは、その京都大学の新入生。新歓コンパに誘われ、青竜会に参加する事になる。
ホルモーは基本的には1チーム10人。それぞれが100体のオニを使役するので合計2000体の対戦になる。簡単に言えばピクミン。映画の中ではおおざっぱにしか描写されていないけど、攻撃、補佐、回復などの役割分担をし、フォーメーションを駆使して戦うRTSの様な物。オニにはオニ語と対応する動作によって指示する。これが奇声と奇抜なポーズの意味。このオニたちのバトルはCGを駆使していて、個体毎に様々な動きをしていて見応えがある。コミカルなデザインなんだけど、これリアルな感じならグロ満載になってただろうね。で、オニたちは一般人には見えていないので、変な奴等がおかしな事をしているとしか見えない訳で。そのギャップは笑いにつなげられると思うんだけど、そういう場面は数回しかなく有効的とは言えない。特にラストバトルは市街での場外乱闘になっているので、幾らでも京都市民をからめられたと思うんだけどね。
後は、大学間のバトルをもっと観たかった。青竜会は「鶴翼の陣を発展させた青竜の陣を使う」というセリフがあったので、それぞれの特色を観られたらなぁ。


作品自体は、四神にからめての京都に危機という軸はあるにしても、基本的には大学のサークル活動を舞台にした青春コメディとなるんだろう。ただオニ語とポーズ、それから一部の演出によりバカ映画に傾いている。原作とは違うんだろうな。元の形が五角形だとしたら、ある部分を伸ばして、ある部分を減らしたら星形になっちゃた様な。
キャストに関しては、主役はイマイチだった。映画版『電車男』の主役の人なので、演技は上手いのだけど、キャラに魅力があまり無いかなぁ。いや、そのダメさ加減がこのキャラ性なんだろうから良しか。
やっぱり、何と言っても栗山千明の演じる楠木だ。序盤、新歓コンパのシーンから何気なく小芝居が効いていて、作品中のアチコチで美味しい所を持っていってしまう。ラストバトル、自分のオニに武装させ、早良に対して攻撃に転じる場面。芦屋に対しての策略の場面。いやぁ、カッコイイわ。ある意味、楠木がヒーローで、主人公がヒロイン役だよな。
それから、楠木に劣らず美味しいのが高村。セリフにしろ振る舞いにしろ、笑いの部分の多くが彼絡みだった様に思う。
こんな二人に挟まれちゃ、そりゃ主人公の存在感も薄れますわ。
それと、地味ではありますが、あちこちで描写される京都の景色は綺麗だった。寮の雑多さも良かったね。
祇園祭四条烏丸交差点。祭りのど真ん中で一般客がざっと引き、四大学が対峙し名乗りを上げる場面。ここは見栄えがあった。
そうそう、龍谷大学フェニックス会長のお姉さんは良かった。演じた佐藤めぐみさんって、調べたら『金八』第6シリーズの赤嶺繭子か。どこか見覚えあると思ってた。はっきり憶えてます。


この作品、合わない人にはダメだろうな。比較的簡単に誘導できる「泣き」と違って、「笑い」は難しいからね。冷めてしまった状態での視聴は苦痛にしかならない。大入りの劇場で集団で笑いが起こる状況だと引っ張ってもらえるけど、「笑いのツボ」に入らず、淡々と観るだけだとクソ評価だろうな。
私にとっては10点評価で7かな。ただ人によっては2とかになっても不思議はない。
とにかくキャラクターが良かった。ラストも収まるべき着地点にきちんとまとめた感じ。前後するけど、倒れた高村に対し、今までバカにしていた三雑魚が「お前もよくやったよ」と声をかけるシーンとか良いね。


しかし、これ。有志オフ会とかで街中で集団ゲロンチョリー!とかやりたいよね(笑)。
集団レナウンは逮捕されるから無しで。