「シャーロック・ホームズ」


観てきました。『Snatch』のガイ・リッチー監督によるホームズ。


5人の女性を殺害したブラックウッド卿。犯行現場に突入し、6人目の被害者を救出、ブラックウッド卿を逮捕したホームズ、ワトソン、レストレード警部たち。
やがてブラックウッド卿は絞首刑に処され、ホームズはアイリーン・アドラーから一人の男の捜索を依頼される。
だが、事件は終わっていなかった。死んだはずのブラックウッド卿が墓地で目撃されたのだ。棺の中を調べてみると、その中にあった死体は卿の物ではなく、ホームズたちは再び捜査を開始する…。


ガイ・リッチーの作品はジェイソン・ステイサムが出演した作品を何作か観ている程度なのですが、それらとは少し毛色が違っていますね。脚本がガイ・リッチー本人ではないからかもしれません。
「ホームズ」という一般的なイメージからは少しかけ離れたキャラであり、作風でした。
舞台設定や美術、衣装、音楽など、あるいはモブキャラのメイクまで、雰囲気はとても良く出来ています。一方で、「ホームズ」のアイデンティティとも言える推理部分が雑で、アクション中心の娯楽作になってしまっていますね。
テンポも少し間延びしている気もしますが、定期的にアクション的な見せ場が来ますので、飽きずに観れるのではないかと。逆に推理中心にしていたらヒットはしなかったかもしれません。
ホームズのキャラも、スマートではないとか、ハンティングをかぶっていないとか、賭けボクシングに出場する筋肉タイプであるとか。ただ、そうした要素も原作から抽出した特徴であり、私たちが抱いている「ホームズ」というキャラは、後の映像作品などから脚色されたイメージであるという事なんですけどね。実際、この作品は原作を読んでいたらピンとくる小ネタがちりばめられています。そう考えると原作ファン無視の方向性では無いんですな。ただ、拒否感は当然あるとは思います。
ホームズ役のロバート・ダウニーJr.(RDJ)は私にとって好きな俳優の一人ですので、普通に受け入れられましたが、最後までホームズとは思えなかったのも事実で。ワトソン役のジュード・ロウと、配役が逆だった方がイメージには近かったかもしれません。
それからアイリーン・アドラーですね。原作ファンには有名なキャラなんですが。原作に比べると峰不二子度にブーストアップしている感じ。原作ではもう少し知的さを感じさせるイメージだったのですが、演じているレイチェル・マクアダムスは『消されたヘッドライン』で優等生キャラを演じる事ができていますので、アイリーン・アドラーの場合はわざと奔放な方向に演技をシフトしているんだろうなと。


まぁ、『ヤング・シャーロック』もアニメの『名探偵ホームズ』も楽しめた私には、この作品も面白く観賞できました。
例えて言うなら原作『怪盗ルパン』に対する『ルパン三世』って感じでしょうか。たぶん続編もある。
10点満点評価で8点。もちろんDVD購入決定です。


ところで、パンフレットを購入した人は作品鑑賞後に開く事をオススメします。
特にキャラ紹介のページ。誰が殺されるとか、誰が黒幕だとか、原作ファンにはおなじみの重要キャラが…とか、ネタバレだらけです。
あと、解説の大槻ケンヂ。「腐女子的要素」とか言わんでくれ。