「9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜」


観てきました。元は11分の短編作品。監督の卒業製作だったそうです。それをティム・バートンがバックアップして長編リメイク化したのが本作です。


物語は人類のいない近未来。研究室の片隅で目覚めた人形「9」は、自分とそっくりの人形「2」と出会う。だが、そこを猫型機械のビーストが強襲する。ビーストに連れ去られてしまう「2」。気絶した「9」は同じ様なナンバーを付けた人形たちに保護される。「9」は「5」を伴って「2」の救出に向かうが…。


舞台は人類滅亡後の廃墟の街。その原因は機械の反乱。設定としてはありふれた、様々な作品に使い続けられたネタです。ストーリー自体も元が短編のためか、とても薄くて。結末もこんなもんかなぁ…という感じでしたね。
その一方で、各種デザイン、世界観、演出等々は素晴らしかったですね。もちろん、それでも既視感のある範囲に留まっていましたが、一作品としての完成度は高かったです。パンフにも「影響を受けたアーティスト」としてヤン・シュヴァンクマイエルベクシンスキーが挙げられてましたが、確かにその辺の作品は連想しますね。とは言っても、影響元と比較すれば一般人的感性でも受け入れ易いレベル、毒性はかなりマイルドに抑えられていますし。元の短編を未見なのでどれだけアレンジされたのか判断できませんが、人形たちのデザインにはティム・バートンらしいフランケンシュタイン・モチーフが見受けられますし、巨大なファンや歯車といった風車モチーフも散見しますね。
キャラクターの数は少し多いかもしれませんね。6人くらいに特徴をまとめた方が良かったような気がします。ジェニファー・コネリーが声を演じた「7」がカッコ良くて素敵でした。逆に主役である「9」はもう少し深くキャラ描写が必要だったかと。


10点満点評価で7.5点って感じかな。ビジュアル面、音楽面などだけを評価するなら9点付けてますけど、ストーリーやラスト展開の弱さで相殺されちゃいますね。個人的には気に入った作品ですけど。
ハートフルな気分になれるアニメじゃありませんので御注意。むしろ物語開幕時と比較してラストは状況が悪化してる感じ。人によっては鬱な気分になるかも。
DVDリリース時には元になった短編も収録してほしいですね。