「クレイジーズ」


観てきました。ゾンビ映画の大御所ジョージ・A・ロメロ監督の『ザ・クレイジーズ』をリメイクした作品です。
元となったロメロ版は縁が無くて未見ですが、『ナイトオブ…』や『ゾンビ』のレンタル用ビデオなんかにも予告編は収録されていて、防毒服のインパクトある映像は当時高校生だった私の脳にも刷り込まれていきましたね。


さて、物語の舞台はアイオワ州の田舎町オグデンマーシュ。主人公のデヴィット保安官はパトロール中に野球を観戦していた。その試合中、銃を携えた男がマウンドに乱入してくる。騒然となる場内。説得を試みるデヴィットだが、それでも銃口を向けてくるローリーを射殺してしまう。元々酒乱の傾向があったローリーなので、酒に酔っての犯行だと判断されて終わるはずだった。ところがローリーは2年前から酒は止めていると遺族は訴え、遺体からもアルコールは検出されなかった。
そして、女医をしているデヴィットの妻ジュディの診察室に、ビルという男が家族に伴われてきた…。


所謂「感染者」テーマです。『28日後』とか『プラネット・テラー』とか。新種のウイルスに感染し暴力的になった感染者が爆発的に増えていく系のパニックホラー。、厳密に言えばゾンビじゃないんだけど、やってる事はゾンビ映画とほぼ一緒。まあ、死んでるわけじゃないし、初期段階では感染者と非感染者の区別が付かないのがやっかいではありますね。感染したから狂気に支配されたのか、あるいは感染していないのに内包する狂気が表面化したのか。その辺りがこの作品の面白い要素だと思います。後は、町を制圧する特殊部隊員とその上層部の非人間性とかね。自分が生きるために、結果的に多くの他者を犠牲にしてしまう事とか。人間って怖いね。そういう感じです。


映画的には特に演出面や構図で結構良い印象を受けました。作りとしてはオーソドックスながらも、手堅く出来ているので満足感は得られるのではないでしょうか。
残念だったのはキャラクターの弱さですね。主人公夫妻と保安官補佐、彼らの言動の描写が浅くて、主役としての存在感が薄いんですわ。あまりにヒーロー的になるのもアレですが、もう少し突っ込んで描写してくれたらなあと思いました。


私の評価は10点満点で8点ってとこですかね。
あ、監督のブレック・アイズナー。次回作は『ニューヨーク1997』のリメイクだそうです。そう『メタルギア』のルーツとも言えるあの作品ですよ。今だとスネークは誰が演るのかしら?