リンカーン/秘密の書


こちらも21日、レイトショーで観てきました。さいたまのMOVIXでは2D字幕だったんですが、川口では3D字幕だったので妥協しまして。今までも何回か書いてますけど、個人的には3Dでは観たくないんですけどね。


物語は19世紀アメリカ。エイブラハム・リンカーンは幼い頃に奴隷商人バーツに母を殺される。成長したエイブラハムはバーツへの復讐を決行するが、銃弾を撃ち込んだはずのバーツは死なず、エイブラハムに逆襲してきた。傷を負った自分を助けたヘンリー・スタージスに、バーツは吸血鬼だと知らされたエイブラハムは、彼の元でヴァンパイア・ハンターの修行を積む事になる…。


原案と脚本を手がけたのはセス・グレアム=スミスで、『高慢と偏見とゾンビ』の原作者。ティム・バートンの前作『ダーク・シャドウ』と次作『ビートルジュース2』の脚本も任されて、ティム・バートンには気に入られている様子ですね。『高慢と偏見とゾンビ』は私も読みまして面白いと思ったんですけど、『ダーク・シャドウ』は色々と残念な所もありましたし、それからすると今作の粗がある内容も納得かなという感じです。
監督はティムール・ベクマンベトフで、『ナイト・ウォッチ』に『デイ・ウォッチ』に『ウォンテッド』なんかの監督だったりするんですが、正直言ってこれらの作品、私は面白くなかったんですわ。だからお察しだったんですかね。
で、この映画を観たいと思った一番の理由は愛するティム・バートンが製作担当してるからなんですが、ほとんどティム・バートンらしさが感じられなかったんですわ。『9〜9番目の奇妙な人形〜』なんかは世界観にも演出にもティム・バートンっぽさって感じられたじゃないですか。そういうのを期待してたんですけどね。『スリーピー・ホロウ』とかあの辺の雰囲気を期待してたんですけどね。ああ、せめて音楽をダニー・エルフマンにしていたら印象も違ったかも…


何がイマイチだったかと言うと、まず吸血鬼の設定だと思うのですよ。日焼け止めクリームだかを塗っているために日中の活動がOK。で、南部を中心にアメリカ大陸全州に、しかも街の有力者の中に大量に紛れ込んでいる。身体能力は人間を遥かに上回って、加速装置的な超高速移動に、霧の様な不視覚化もできる。弱点は銀による攻撃しか受け付けない。これで19世紀の世界ならほぼ無敵じゃないですか。しかも吸血鬼同士では殺せないって設定もありますし。なのに、人間をなめてるのか堂々と正面から襲いかかってきて銀の武器にやられるという頭の悪さ。この辺で気持ちが萎えかかりますわ。そもそもこいつら今まで長い間に人間なんか支配できてただろうに。
で、エイブラハム。修行を積んだとは言え基本は人間である事には変わらないんですけどね。斧を使った殺陣とかは見応えあったとは思うんですが、走ってる馬の大群の上でのバトルがあるんですが、人間じゃ無理だっての。
そんな感じであちこち説得力が無いんですわ。うん、ツッコミ入れながら観る姿勢が正しいんですかね。
あと、キャラクターの心理描写ももう少し描き込んでほしいと思いました。
まあ、1000円くらいで観るかレンタルとかなら楽しめるとは思いますけど、通常料金プラス3D料金で観るとなると割高かなあと。