梅棒 2nd ACT『ウチの親父が最強 -PARCO Edition-』

今年の1月末から2月に上演された舞台「ウチの親父が最強 」が渋谷のPARCO劇場で2日間だけ再演されましたので観てきました。
舞台内容に関しては前回公演の時の記事をご覧いただければと思います。→梅棒 2nd Act『ウチの親父が最強』
今回は前とは違ってる部分などについて軽めな記事になる…かな?私は東京Aキャストしか観ていなかったので、差異が多くとても新鮮でした。


今回のキャストは梅棒のメンバーが8人。今人さんが他のイベントに参加されているため今回は出演されず、前回は写真担当として参加されていた飯野高拓さんが出演。バーのスタッフの千堂さん、ナース、電車の乗客、受験生、主婦など多才な演技を見せてくれました。本当にかなりおいしい役ばかりでした。


梅棒以外のキャストも含め、基本的には大阪公演版に準じている様です。ただ、しぐれ役だけは東京Aの野田裕貴さんが担当し、大阪でしぐれ役だった鶴野輝一さんは今人さんの代わりに晴美さん役を演じてました。これがホントに可愛いお母さんでしたね。


四葉さん役に関しては12日の公演では東京Aと大阪で担当してたIGさんが、13日は東京B担当のsuzuyakaさんが日替わりで演じてました。そのため、四葉さんは両日でかなり演技の印象に差が出ていまして。特にメインとなる「誘惑」の場面。IGさんはもちろんポールダンスを披露してくれるのですが、suzuyakaさんは柔らかく艶かしいダンスを魅せてくれる一方で、所々で全くブレの無い刀身の様な鋭さを魅せてくれました。IGさんの美しくも力強い演技と対象的に、舞台上でsuzuyakaさんのいる場所だけ世界が違っている様な華やかさがありましたね。


ボスの九十九役の永井悠造さん。迫力があって、コミカルで、津田さんとは全く違う魅力がありました。菊池祐太さんと同じく演劇系の人なので、舞台上で役作りが映えるのでしょう。四葉さんとのからみで拍手したくなる展開がいろいろ仕込まれてました。


前回、東京Aで瀬名君を演じてた菊池祐太さんは今回は演出助手として裏方に回ってはいますが、1場面だけ出演してます。小学生あられちゃんに意地悪をしてるのをお父さんに追い払われる役なのですが、ここで実はラブレターらしき物を渡そうとしてるのが一瞬わかり、その微妙な感情表現をした演技は良かったです。短い出演ですが、とても印象に残りました。


おじいちゃん役のだーよしさん。「うちパパ」では私は初めてなのですが、3月に川崎クラブチッタで行われた「ダウン症の日」のダンスイベントでTRIQSTARというチームで参加されていまして、そこでのステージがため息が出るほど良かったのですよ。今回も随所でロボットダンスを披露してくれまして、マチョさんとはまた違った魅力あるおじいちゃんでした。


あられさん。「白馬の王子様」に憧れる、大阪版のメガネあられさん。
小学生時代は美優ちゃん。基本的には東京Aの時とは変わらない感じでしたけど、表情がとても輝いてましたし、小さい身体で舞台上をダイナミックに動き回るその姿はやっぱり目立ってましたね。
そして、小板奈央美さん。こちらも基本的なダンス構成は東京Aと変わらないはずなんですが、ちょっとした表情や仕草がキラキラしていたA版あられさんとは明らかに違ったキャラになっていました。コミカルで、リリカルで、幸せな表情も、哀しい表情も、家族に向ける優しい表情も、困難に立ち向かう凛とした表情も、安定して魅力的でした。
瀬名君との出会いを描いた「いつだって僕らは」の場面、その幸せが引き裂かれ苦しむ「会いたくて会いたくて」の場面、何度観てもやっぱり好きです。


終盤の戦いの場面、ここは大阪版と同じなのでしょうか?東京Aの「魔弾」とは大きく違っていて良かったですね。
ドラマ再現の場面は東京Aと同じ「ロングバケーション」でした。


私は今回の2日間の再演4回中で最初と最後の2回を観てきまして。どちらも最前列のど真ん中と、少し右寄りという特等席。それだけ臨場感もありましたし、皆さんの細かい動き…それこそ指先とか表情まで近くで体感する事ができました。
これで「ウチの親父が最強」という作品が本当に終わってしまうという事で、千秋楽16時からの回は気合の入り方が1日目と比較しても並みじゃないと感じました。要所要所でそれまでとは明らかに違うキレを感じましたし、「最後だから悔いの無い様に全部を出し切る」という様な気持ちがこちらに伝わってくるような気がしました。
この作品を観るのは前回のも含めるとこれで5回になりますが、全く飽きないどころか、その都度何か新鮮な感動を得られますし、物語自体はシンプルな分、こちらの感情に対してテーマ性をダイレクトに訴えかけてくるのでしょう。
どういう風に展開するのかを知ってても、毎回同じ所で泣きますし、笑いますし、感動がどんどん上書きされていく感覚でした。さらに前と違う部分なども少しずつ増えたりして、繰り返し観たくなりますし。
一度作品として完成している物に公演中に手を加えてより良い物にしていく、それは観ているお客さんを楽しませようと考えてくれているのだと思います。それがわかるから、この梅棒の作品は満足できると期待できるし、次の機会があればまた観に行きたくなるんですね。
登場するキャラみんながそれなりの幸せな位置に落ち着き、それを観た側も何か幸せなほっこりした気持ちで劇場を後にして、そして誰かとのつながりを意識して、誰かに優しくしたくなる。そういう作品を送り出す梅棒って、なんて素敵なんでしょう。


この「ウチの親父が最強」は終わってしまいました。それは少し寂しい事ではありますけど、もう3rd ACTが発表されています。次もきっと面白く、観に行って良かったと思える作品だと期待できます。はい、私も絶対に行きたいと思います。
感動と幸せな時間をありがとうございました。

今回も小板奈央美さんにスタンド花を贈らせていただきました。