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『足長おじさん〜ジュディ物語』

舞台

5月24日に、小板奈央美さんの出演する舞台、郡司行雄プロデュースVol.116『足長おじさん〜ジュディ物語』 WHITE組の千秋楽を観に行ってきました。

この作品は主役のジュディ・アボット役を7人の女優さんが入れ替わりで次々に演じる形になっていて、小板さんはその中のジュディG役での出演になります。
出演者はWHITE組の他にRED組とBLACK組のトリプルキャスト。それぞれにジュディがAからGまでの7人、孤児が5人いる総勢36人の大所帯。小板さんは中でも最年長で、最年少の豊田未来ちゃんは7才と年齢層も幅広いですね。
公演は全10回で、小板さんの所属するWHITE組は3回の公演がありました。
場所は銀座のみゆき館劇場。JRの有楽町駅から歩いて5分くらいの所の地下にあって、座席数は80くらいの本当に小さな箱でした。私はその最前列で観劇できたので出演者の微妙な表情の変化まで堪能しました。


さて、この『足長おじさん』、ジーン・ウェブスター原作で1912年の作品。ちょうど100年前に書かれた事になりますね。
私は1990年に放送されたアニメの名作劇場版を好きで見ていました。それから坂本真綾さん主演のミュージカル版も観に行きたいと思っていたけどチケット手に入らなかったんですよ。
で、今回の観劇前の予習も兼ねて、初めて原作を読みました。アニメでの印象とは違っていて、最初の導入部を除く文庫の200ページほぼ全編がジュディの書いた手紙の形式になっているんですね。アニメだと視聴者向けにそういう部分に手が加えられていたのかと今さらの様に知り、「手紙」という表現方法の良さ、書かれてから読まれるまでのタイムラグ、書く側と読む側の意識のズレなど、かなり深く書き込まれた作品なのだと思いました。


この舞台はその原作の雰囲気を活かしていて、ジュディが手紙の文面を独り語りする場面がメインになります。その合間に、ジュディと他のキャラとのからみ、ジョン・グリア孤児院での孤児たちの物語、そして7人のジュディや5人の孤児たちによるダンスシーンが入ります。
孤児パートはジュディとはほとんどからみが無いのですが、そこで描かれている話題は服や食事の事だとか、ジュディが孤児院にはもう戻ってきたくない事など、ジュディが手紙に書く話題とアチコチでリンクしていて、ジュディというキャラがどう育ってきたのか、彼女の性格やキャラクターのバックボーンを想像させる手がかりとしての役割になっていたと思います。


ジュディは7人の女優さんが入れ替わりで登場して独演、手紙形式ですから最後に「ジュディより」とか「追伸〜」などで締めて場面をつないでいき交代していく感じですね。
7人1役ですから女優さんのそれぞれの個性が感じられて、同じ1人のキャラであるものの、ジュディというキャラの魅力が文字通り「7色」に表現されていて、面白い演出になっていたと思います。
例えば結城あんなさんのジュディは少し勝ち気で凛としていた印象ですし、石川いずみさんのジュディはおっとり系の印象でした。そういった違いが長ゼリフの独演で次々に披露されて、とても楽しかったですね。
ジュディは物質的には何も持っていない孤児でしたが、精神的にはとても豊かな女の子で、そういう彼女だからこそ、おじさんは魅了されて学業援助を申し出たのでしょう。そしてその個性が発揮された手紙を本当に楽しみにしていたのでしょうね。それが、この舞台ならではの配役構成で活きていたと思います。


小板さんは7人の中でも背の高い組だった事もあって、少し大人びた印象。表情も豊かでしたし、この7人の中でも舞台経験は多いので演技に幅があって映えていましたね。
終演後のアフタートークでもおっしゃっていましたが、「おちゃめで可愛らしく」を意識して演じられていたそうです。
このWHITE組では小板さんが一番舞台経験を積んでいて。それは他の組でも清水芽衣さんと押川バアナ紗慧さんが多くのお仕事経験があって。小板さんと清水さんと押川さん、その3人が同じジュディG役ですから、そうしたベテランに任せられるポジションなのでしょう。
そうした事もあってか、ジャービスとの出会い、初めてのニューヨーク、足長おじさんを卒業式へ誘う場面、卒業式の後、足長おじさんの正体を知る場面など、パッと思い出してみただけでも結構重要な場面を担当されていた印象ですね。
ツイッターやブログで小板さんの事をずっと追いかけていましたが、詳細が発表される前から今回の舞台への意気込みはバシバシと伝わってきていまして、ストレートな演技系の舞台が今後もしばらくは無さそうだとの事で、稽古前後の発言に「ジュディとして生きる」という姿勢が毎日の様に表われていました。
舞台経験の無い共演者たちの中にあって突出した経歴がある小板さんは、年齢の事もありますし、稽古などでも皆さんを牽引しサポートする役目も担っていたお姉さんだったのではないかと思います。そういう意味でも、小板さんにとって大切で思い入れのあるお仕事だったのではないでしょうか。


小板さんは多才な方で、特にダンススキルは彼女の一番の武器だと思います。『足長おじさん』でも幾つかあるダンスシーンは観ていて華やかではありますし、他のジュディ役と一緒に踊るためにどうしても比較してしまい、強く印象に残りがちでしょう。
でも、もちろんダンスにも全力で挑んでいるのでしょうが、小板さんが『足長おじさん』で比重を置いて取り組んでいるのは役作りと普通の演技なのだと、私はそう受け取っていました。
ダンスのお仕事であれば、その感情表現はダイナミックな動きに依る事になるでしょうし。
梅棒の『ウチの親父が最強』ではセリフが無いために演技や表情は比較的コミカルにオーバーアクションに演出されていました。
また、『舞台ドリームクラブ』でも相当の役作りをされていたと思いますが、あちらは関西弁での長ゼリフに引っ張られていた印象もあり、何より他のキャラとからむ比率の多い群像劇でしたから。
『足長おじさん』はそれらとは全く赴きの異なる作品でした。先にも書いた様に、多くの場面が舞台上には相手のいない独演で、セリフ自体も手紙の文面そのままです。そのため、大きなアクションの無い「静の演技」になります。そこでキャラを活かしていくのが微妙に変化する表情と、セリフの抑揚と、手の指や足の爪先の動きにまで込められた感情の一つ一つ。
そう、決して派手では無いのです。でも『ウチの親父が最強』の時ほど極端ではありませんが、そこには静かにはっきりと感情の揺らぎが表われています。
所持している衣装を一着ずつ紹介する時のウキウキした表情や仕草、ニューヨークを訪れた時のキラキラさ、ジャービスの事を語る時の乙女らしさ、おじさんと会う事ができなかった時にスカートの裾をギュッと握りしめる指先の悔しさ、とうとうおじさんと面会した時の心配の暗さから一気に嬉しさの輝きへと変化する表情。そして舞台の照明が消える瞬間にうつむいていた表情が微妙に変わるなど。
この役を演じる事に込められた全力を、最前列の席でしっかりと堪能できたのは幸せでしたね。それでもやはり舞台は生き物ですから日によっても細部に違いは出てくるでしょうし、見逃した部分も気づかなかった部分も多いと思います。だから本当なら3回の公演全部に行きたかったんですけどね。でも、来れなかった人がいる事を考えたら1回でも実際に観れた事に満足です。


それから髪ですね。ちょうど公演の1ヶ月前でしょうか。このジュディ役の年齢に合わせて髪をバッサリと切られたのです。それまで長くてサイドに分けていた前髪も眉毛にかかるかくらいの長さに。それがかなり見た目の印象が変わりまして、小板さん自身も主張されてましたが「若く可愛く」見えると。
それでですね、これは小板さん自身が役作りとして意図的に演出されていたのか、それとも本当に偶然の効果なのかわからないのですけど、この前髪がとても効果的に舞台上で映えていたと思いました。と言うのも、最初に小板さんが舞台に現れた時には前髪はストレートに垂れていたのです。オデコが隠れていましたね。それが次第に左側に流される感じになってオデコが見える様になっていくと。つまり若く初々しい新入生のジュディから4年後の大人っぽくなった卒業生のジュディまで、その成長の変化が前髪から受ける印象からも感じられたのですよ。額の汗を拭いたり、ダンスを繰り返しているうちに自然にそうなってしまっただけなのかもしれませんが、例え偶然だったとしても効果的でした。


そして衣装。一体どれだけ着替えていたんでしょうか?小板さんだけでなく他のジュディ役の子も。ちょっとした小物をアクセントに加えたりも含めると、もしかしたら出てくる度に何かしら変化していたかもしれません。ずっと同じ衣装を着続けている孤児たちとの対比になっていたんでしょうね。
クリスマス衣装やパーティでのドレスもとても可愛くて綺麗でした。


ジュディの独演がメインではありますが、他の同級生たちとのからみのある場面も少しあります。その場面でジュディ役を演じていないキャストが他のキャラを演じる事になります。
小板さんはサリー役で2度(かな?)登場しました。サリーは真面目で内気で野暮ったい感じの子で、大きな黒メガネをかけています。その姿が私には『ウチの親父が最強』のメガネあられさんに見えてしまって、メッチャ内心でテンション上がってしまいました。
ちなみにサリーは原作では『続あしながおじさん』の主役になっているそうです。


終演後、舞台上には出演者全員が集まってのアフタートークの時間。プロデューサーの郡司氏(だと思います)が登場して司会役を務めてました。けっこう辛口で厳しそうな人でしたね。でも、舞台演技に対して真剣に取り組んでいて、だから公演も長く続いているのだと思います。
人数が多いため、小板さんはそれほど多く発言されませんでしたが、先にも書いた「おちゃめで可愛らしく」発言だけでもう満足です。
それに、この時の小板さんは最年少の未来ちゃんの手を握って導いてあげたり、ずっと気にかけてあげていて、本当にこういう面が小板さんらしくていいなーと思って見てました。


全てが終わって。出口までの通路から階段にかけて出演者たちが見送りに出てきてくれてました。狭くて後ろからも押し出される形になるのであまり時間は取れませんが、ちょっとした挨拶くらいは出来る様になってました。
実は私、この舞台を観劇済みのピュア紳士仲間からこの情報を得ていまして。少しでも長く時間を確保するには最後がいいんじゃないかとギリギリまで粘っていたのです。
少しお話ができて、ちょっとしたプレゼントをお渡しして、VITAのドリクラZEROの機能を使って玲香さんとの2ショットを撮影させていただいて時間切れでした。贅沢を言えばもっと話したい事はあるのですが、これだけでも十分すぎるくらいありがたいです。
玲香さんとの2ショットは場所が暗めだった事と、この機能自体が低画質になってしまうので粗くなってしまいました。もう少し時間に余裕があれば距離や向きなども調整したかったところですが、小板さん自身にも喜んでいただけたので良しとします。機会があればもっと綺麗に撮らせていただきたいですね。

残念ながら小板さんは5月31日の『劇団ドリームクラブ―ホストガール ライブオンステージ Vol.2』には欠席で、それについて語りたい想いはたくさんあるのですが、いずれ書く機会もあるかもしれませんので、それまでしまっておきます。

今回は私を含めたピュア紳士有志一同9名でスタンド花を贈らせていただきました。
今までは玲香さんのイメージカラーだったり、小板さんの好きな青や紫の花で作ってもらっていましたが、今回はWHITE組に合わせて真っ白です。


『足長おじさん』の舞台が全公演を終えて、小板奈央美さんは次に向けて歩き出しています。
この舞台から得られた経験値、そして他の共演者の皆さんとの出会い、とても大きな物だったと思います。
WHITE組の本番は公演3回でトータル5時間くらいでしたが、舞台が決まって2ヶ月ほどですか、他のお仕事の合間にも稽古や本入れや役作り。実際に舞台に立つ以前にあった色々な事、それこそ日常の些細な事から受けた刺激や出来事を取り込んで、そうした物が結実して小板さんのジュディが誕生したのだと。舞台演劇というのはそういう物なんだろうなと感じました。
当分の間は今回の様な舞台演劇のお仕事は無いとの事ですね。梅棒3rdも小板さんの出演に期待していたのですが、そのオーディションの日程が『足長おじさん』の公演と重なってしまって残念です。
しばらくはここ最近の様に、ダンス主体のお仕事や撮影モデルのお仕事が続くのでしょうね。色々な仕事のオーディションなどにも積極的にアクセスしている事も伺えますし、お仕事で輝いている姿を見るのが応援している側としては一番嬉しい事です。
それに、ダンスチーム就職氷河期の方もいよいよ動き始めたとの事で、こちらも期待です。
小板さん、『足長おじさん』のジュディ役、おつかれさまでした。次は小板さんのどんな面を魅せていただけるのか、楽しみに待っています。


よろしければ小板さんのブログもご覧になってください→「こいたチャン☆style 舞台『足長おじさん〜ジュディ物語〜』終演」(小板さんの旧ブログは閉鎖されましたのでリンクは外させていただきました)