『クリスマスキャロル』

公演から5ヶ月ほどの日が経ってしまいましたが、こっそりと更新させていただきます。

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山下聖良ちゃんの出演する舞台、ミュージカル『クリスマスキャロル』を観てきました。場所は鶯谷東京キネマ倶楽部。元はキャバレーだった箱だそうで、内装や置いてあるテーブル席など、普通の劇場とは空気が違いましたね。

今回はちょっと年末の忙しい時期だったので、12月15日のソワレ1回だけの観劇でした。席種もいろいろあったのですが、正直言って4万円を出してのディナーには興味が無かったので、食事のつかない中での高い方の席、2階バルコニー席を選びました。それでも9000円。私は下手側の端から2席目でした。

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手すりをぐるりと取り巻く2階最前席になります。普通に座っている目線だと↑こんな風に舞台が遮られてしまいます。

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前のめり姿勢で観劇すると↑の様に観やすくなります。見下ろす形にはなりますが、キャストさんたちの表情もはっきりわかって良い席でした。

私の後ろのBOX自由席は背の高いバーカウンターチェアだったので、私が前のめりになっても視界に影響は出なかったと思います。とは言え、BOX自由席がどれくらい観やすかったかは疑問ですが。

上演中の撮影は可能だったのですが、ちょっと試してみて私の古いスマホでは綺麗に撮るのが難しかったのと、スマホの液晶を見ながらだと観劇に集中できなくなるのですぐに止めました。

 

公式サイトの「ABOUT」にディケンズの「クリスマスキャロル」に言及がありますが、「STAFF」の方には原作表記がありません。実際のところキャラ名などは準拠していますが物語としてはけっこう改変されていて、原作というより原案といった印象です。

クリスマスに守銭奴経営者のスクルージのところに天使が現れ、彼の若い頃の姿を見せ…という流れ。

 

 

聖良ちゃんの演じるのはスクルージの孫娘、パティ役。三つ編みツインテおさげにピンクのカントリー風ワンピースでかなり可愛い感じ。

スクルージに同行して過去を見る役どころなので、舞台上に登場している時間も多めでした。

ファンとしてのひいき目があるにしても、確かな発声力や歌唱力はミュージカルという舞台で栄えていましたし、コミカル調でも健気さでも演技力は発揮していて、とても目立っていたと思います。可愛さもあって、初めて聖良ちゃんを観るお客さんたちにも印象に残ったんじゃないかなと思います。

あと、他の女性キャストさんたちと一緒に、大人な衣装でバーレスクダンスも披露していました。こういうのを観れたのも『ホス探』以来だったので、ファンとしてもレア感が高かったです。

この年、聖良ちゃんは様々なレッスンやボイトレ、本場のブロードウェイにまで行ってレッスンを受けてたりもしましたから、その努力と頑張りが結実した姿を1年の最後に観せていただけて、本当に幸せでした。

 

 

出演キャストさんのレベルにはムラがあったと思います。高いレベルの人がいる一方で、客寄せかなと思う人も。

主演のホリエモンは「良かった」と拍手するほどまでは行かないにしても、不協和音にならない段階までは仕上げてきていたと感じました。その分、スクルージの青年時代を小西成弥さんが演じていて、主役の印象や華々しさを彼が補っていましたから。

また、出番こそ多くはなかったですが、脚本演出音楽などを担当している湯澤幸一郎氏も大天使ミカエル役で出演し、その存在感と歌唱力の凄さは1人だけ群を抜いてるレベルでした。

それから、個人的にはガブリエル役の横山智佐さん(いい年したオッサンなので、ちさタローの演技を生で観られてめっちゃ感激しました)、ラファエル役の中根愛理さんがとても良かったですね。

ストーリー面ではそれほど突出した物は感じなかったのですけど、歌とダンスと演技の相乗効果で、そして光と音楽の演出も付加されて、クリスマスという時期のキラキラ感もあって、舞台で繰り広げられる世界観に惹き込まれて、高揚感と満足感のある観劇でした。

 

 

 

 

 

 

さて。記事の更新が遅れたのは、この公演に不満がいくつかあって、それを吐き出すかどうするか迷っているうちにズルズルと時間が過ぎてしまったからなのでした。ちょっと毒を吐くので目にしたくない人はご注意を。あくまで私個人の感想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

正直言って、公式サイトやホリエモンの発言などから舞台そのものよりもディナーを前面に推している姿勢が感じられるのが「個人的には」受け入れられませんでした。食事しながらの観劇という事にもかなりの抵抗感。バルコニー席でもフリー飲食が用意してあるのですが、私はドリンクだけでお菓子には一切手を出しませんでした。

で、ディナー席の40000円は提供されるディナーの価格帯とかけ離れてないみたいなので理解できますが、展望席80000円とかVIP席150000円とかね。ああ、想定してる客層が違うんだなと。(ちなみにバルコニー席は9000円ですが、2010年の公演の時は博品館劇場で4500円のチケットだったようです)

上演中の撮影もOKでしたし、ホリエモン氏が語る「演劇の世界が閉じているから変えたい」という趣旨もわかります。でも、それによって逆にこの公演が演劇人からほぼ無視されてしまっている様子で(私の主観ではありますが、出演キャストさんのファンおよび身内らしい人以外、観劇を趣味にしている人の感想をほとんど目にしなかったと思います)この公演自体が「閉じた物」になってしまっている様子なのはもったいないですし。、ホリエモン氏の発言を読むに、あくまでディナーイベントをやりたいという事がメインでミュージカル公演はそれに付随する「余興」と捉えているんじゃないかと見えてしまいます。

これで初めて観劇体験した人たちは演劇の楽しさを知って、またあちこちの劇場に足を運んでいるのでしょうか?そういうきっかけになっていればいいのですが。

でも、他の舞台では上演中の飲食もスマホも撮影も一切禁止なんですけどね。ちょうど今、映画や観劇でのマナー問題がSNS上で話題になっていますが、この公演はそれとは真逆の方向を向いてますから。こういう観劇姿勢が当たり前だと思わないでほしいですね。

日替わりゲストの使い方も演劇に組み込むというよりは本編とは切り離されたショービジネス色が強い印象でしたし。一瞬だけ業界を賑やかして、終わった後は記憶から人々の記憶から薄れてしまった、そんな印象です。本当に演劇としてはしっかりしていたのにもったいない。

 

アンケート用紙などもありませんでしたし。広報も運営も趣旨も、ことごとく、普通の演劇公演と違う、独自路線だったんだなあと思いました。

「演劇のスタイルを変えたい」なら毎年公演をうってみたらいいんじゃないですかね。それが受け入れられるならお客さんもついてくるでしょうし、後に続く主催も出てくるでしょう。1回こっきりの話題性だけで終わるなら、そういう事なんでしょう。

ただ、演劇としての出来は良くても、同じようなイベント概要で同じような席種価格帯で再演があったとして。聖良ちゃんが出演しないのであれば私は観に行きませんね。