K-20 怪人二十面相・伝

レイトショーで観てきました。
評価としては「中の上」ですね。まぁ、ツッコミ所は多々あれど、金額分は十分に楽しめました。
金城武仲村トオル松たか子というキャストで、若い観客層にアピールする様なアイドル等は出ていませんから、ターゲットは子供の頃に「少年探偵団」に夢中になった中年層だと思うんですが…活かされていないんじゃないかと。


まず、乱歩作品らしさはほとんど感じませんでした。サーカス周辺のエピソードと鳩くらいでしょうか。
個人的な勝手な印象で判断するのも申し訳ないのですが、二十面相、明智先生、小林君といった主要登場人物たちは、私の抱いていたイメージとはかけ離れていました。
設定上こういう人物像になってしまったのでしょうが、明智先生は高圧的ですし、推理らしき事は全くしていません。
その推理役は小林君だったのですが、利発的ではあっても、プライドが高い頭でっかちタイプ、自滅型の秀才ですね。
一瞬だけ出る少年探偵団も、育ちの良いお坊ちゃま集団。
二十面相も狙う物に違和感がありすぎ。美術品にこだわってほしかった。
ですから、タイトルから期待させる物と、実際に見せられる内容とにギャップがあります。
元の乱歩作品に思い入れがあるほど、落差は激しいかと。

世界観は、こんな設定が必要だったかは棚上げして、見栄えはしました。第二次世界大戦が無かった世界の1949年。華族と、ドイツの影響を受けた軍警に支配された世界。
ただ、格差とか階級社会の描写がクドイ気がします。
上流階級と、最下層の浮浪児が目立って、普通に存在する中流階級がほとんど描写されていないから、バランスの非常に悪い世界に感じるのでしょうね。

お嬢周辺の描写を見てて強く感じたのが、「カリオストロの城」を作りたかったのかなと。
全体的にスパイダーマンバットマンっぽいカットがあるのですが、「まっすぐ走る」シーンや小型ヘリのシーン等、むしろジブリっぽいかも。

あと、特撮ファンとして個人的に注目していたのが、アクション監督として参加していた横山誠さん。
牙狼」や「キューティーハニーTHE LIVE」の殺陣が好きですので。でも、そう驚かせてくれた場面は無かったですね。闘っている場面よりは、上記の「まっすぐ走る」や街中を走り跳び回る場面が良いですね。「アサクリ」や「プリンスオブペルシャ」の様な感じが出ていて。

イロイロ書きましたが、変にこだわって斜にかまえて観るよりは、上映時間中は頭カラッポにして、楽しんだ者勝ちだと思います。