「Xファイル:真実を求めて」

私は『Xファイル』が好きです。TVシリーズ202話と映画版、全部DVDで持っている程度には。
この作品が作られていると聞いた時には立ち消えになるだろうと思っていただけに、完成までこぎつけてくれた事はホントにうれしかったですね。
とりあえず吹き替え版で観賞と、未公開シーンのチェック。
劇場では字幕だったのだけど、やっぱり吹き替えだよねぇ。小杉十郎太さんと相沢恵子さん。モルスカはこの声が最高。
物語はTVシリーズ完結から数年後、モルダーは隠遁生活、スカリーは医者。
FBI捜査官の失踪。神からのヴィジョンを視て、事件捜査に協力を申し出る神父。そして雪の中から発見される人体の一部。物語の構成はとても地味です。
1作目の映画ではビル爆破、広々としたコーン畑に異質の施設、南極と巨大なUFO。この様な映画ならではの贅沢で派手な舞台を用意し、ストーリー自体は単発だけれど、TVの『神話』シリーズとのリンクを感じさせる作品でした。
で今作品は、完結して一応の決着は付いてますので、陰謀系、入植系は無し。オカルト系のエピではありますが、『Xファイル』よりも『ミレニアム』系の事件だよなぁ。


良かった点は、TVシリーズを観ていたファンならニヤリとするネタが結構ぶち込まれていた事。モルダーの部屋とか「懐中電灯」とか。モルダーとスカリーの関係性も良かった。最初は中途半端な立ち位置だったモルダーが、ちょっとした手がかりから本気になり、ベッドから起きだしてヒゲを剃るシーンは好き。ここで一気にモルダーの意識が変化した事が判る。一方のスカリーは事件からは離れるものの、本業の医療から事件のヒントを導きだす。
不満点は、もう少し派手目な作品の方が良かったと思うね、やっぱり。映画というよりも、TVシリーズの中の前後編って感じなんだよね。実際、TVシリーズだって今作より派手でクオリティの高いエピはたくさんあったし。
失踪したFBI捜査官の名前がモニカって…。だったらモニカ・レイエスを出そうよ。そうならモルスカも事件に積極的に関わろうとするじゃない。他にも、ドゲット、ローン・ガンメン、スモーキングマン、クライチェックあたりをさ、死んだキャラは回想シーンを織り込むとか、無理にでも出してほしかったな。だってお祭りみたいな物でしょ。『Xファイル』という作品が作られるのは最後なんだろうから。
それと、TVシリーズ完結の後で世界が普通だというのも少し意外だったかな。


まぁ、作品としては微妙だったと思う。私自身こうやってDVDを買っている訳だけど、絶賛できる内容では無いし、かと言って不満だらけでも無い。新規のファンを増やす程の魅力も感じられないし、既存のファンでもクソ映画だと酷評する人も多いだろう。
でも、モルダーとスカリー、スキナーが観られただけで満足しよう。