観てきました、『ターミネーター4』。
前作がガッカリな出来だった事に加え、公開前に海外での酷評でネガキャンされていた事もあり、『真夏のオリオン』とどちらを初日に観るか、チケ購入直前まで悩んで結局こちらに。


で、結果。面白かったです。もちろんツッコミ所はある。と言うか満載です。でも、細かい事は棚上げして、目の前にある作品を単純に観賞するという姿勢で臨めば、楽しめた作品でした。
そもそも『ターミネーター』というシリーズは、未来からコナー母子を抹殺しに来る敵、同じく未来からコナー母子を守りに来る味方、日常の中にまぎれ込む敵からの逃亡と反撃、そして未来への暗雲は消えない。こうした縦軸に統一されていたのですよね。それが今作の軸は破滅した未来でのレジスタンス。旧作では数シーンでのみ語られていた部分。作品としての色がガラッと変わってしまい、その点では『ターミネーター』では無いとも言える。それが酷評になったのかと。ただ『T3』で露呈した様に、今までの様に細部をいくら変えても結局は劣化コピーの再生産になり、作品としての質を落としていくだけだったと思います。
『T4』では原題にナンバリングはされていません。既に三部作の予定だと言われていますので、本当に仕切り直しをしたかったのでしょうね。
そうそう、旧作は基本的にどれも敵のターミネーターが圧倒的に強く、勝てる気がしねぇ…ってのが良かったのに、今作の人間側は武装さえしていれば平気でガンガン倒せちゃってるのがダメですな。趣きが無い。戦力も圧倒的に不利な状況で、貧弱な武装でチマチマ抵抗して、絶望的な戦況の中、起死回生の秘策で逆転…ってのがレジスタンス物の醍醐味でしょうが。負けの美学ですよ。そこが判ってない。
あ、こんな状況になっても人類が一つに結束できず、あちこちにクズどもが野放しになっている描写は良かった。人間なんて、そんな物よね。


ストーリー的にはジョン・コナーと、彼の父親である若いカイルとの出会いの話。そこにマーカス・ライト(『T2』『T3』でのシュワちゃんポジション)というキャラがからみ、スカイネット側はT-800がロールアウトされる。
人類の抵抗軍とスカイネットの機械軍団との激戦が描かれている訳だけど、舞台設定は2018年。抵抗軍側の武装も豊富だし、スカイネット側の開発力も旧作に比べて早いペース。この辺は違和感がある。巨大ロボも不要だと思う。
ジョン・コナーの言動からは『T2』を経験している様には見えない。該当シーンがカットされている可能性もあるが、現時点では『T1』→『T4』→『T5』?→『T2』という流れかも。厳密には『T1』と『T4』の間にも矛盾点があるので、タイムトラベルによって歴史が変わった平行世界なのかもしれない。
でも、この時点でスカイネットがジョンとカイルの事を知っていたのが謎。『T2』か『T3』で情報がリンクされたとしか解釈できない。
今回はネタ振りされただけの未回収ネタは、ケイトのお腹の赤ちゃん(ジョンの子供)、残されたマーカスのボディ、黒人失語症少女のスター。次回作以降で当然あるイベントは『T1』『T2』につながる過去への旅立ち関係だろう。
ただなぁ、ほぼ現代に「審判の日」があるとして、数年でターミネーター量産ってのは完全にオーバーテクノロジーなんだよね。『T1』公開当時だったら40年後だったんだけど、今目線で考えると説得力が無いよね。さらに『T4』の世界から10年程度でタイムトラベルって…もう、トンデモ科学の世界だよ。近未来を舞台にしているのにシリーズを長く続ける事によって生じるマイナスだなぁ。


監督は『チャーリーズ・エンジェル』の人だったので微妙感漂っていたんだけど、上出来だと思った。
ジョン・コナー役はガンカタの『リベリオン』や最近のバットマン役でスマートなアクションのイメージがあったクリスチャン・ベール。今作では泥臭くて良い感じ。でも主役とは思えない程、他のキャラの影に埋もれてしまった感。
若いカイル役は先日観賞した『スター・トレック』のチェコフ役の子。
将軍って、マイケル・アイアンサイドだったの!? 全く気付かなかったよ。
サイバーダインの女医師がへレナ・ボナム・カーター。ティム・バートン好きとしてはうれしいかぎり。
と思ったら、音楽もダニー・エルフマンか。こちらもパンフ見るまで気付かなかった。あまり特徴は出てなかったよね。メインテーマとガンズの曲しか目立ってなかった。


そして、既にTVCMでも登場する事がネタバレされちゃってるから書きますけど。
シュワちゃん
この作品中で一番オイシイ所を持っていってしまったキャラ。
『T1』で登場したT-800が終盤で登場するのですが、それが全裸シュワちゃんなんですわ。公開前からカメオ出演って噂は聞いていたんだけど。本人では無かったんですな。実際は似た体格のボディビルダーが演じているそうで、顔だけ『T1』当時のシュワちゃんをCGで再現して貼り付けているそうです。


私としては10点評価で7点という所。金額分は十分に楽しめた。ただ、『T1』『T2』を越える出来では無かったと思う。
「特別編」やら「ディレクターズカット版」やらで大量なカットシーンが収録されればDVDは買うかもしれない。
旧作の予習は『T1』だけ観ておけば大丈夫だと思う。
過剰な期待をしない人になら、オススメできる作品。


タイトルは…わかりにくいかな? 『ジョジョ』です。