観てきました。『サマーウォーズ』。
地元には来なかったので、さいたま新都心のMOVIXまで足を伸ばしまして。公開3日目、夏休み、モーニングと、三光くらいには役が付いたシチュだったため、ほぼ満席。中途半端な席しか空いてなかったので、あえて最前列に陣取って観賞しました。


物語の舞台は2010年の夏。ネット上の仮想都市『OZ』が世界中の人々の生活に広く普及した世界。
主人公の健二は、あこがれの夏希先輩にバイトとして彼女の実家に一緒に帰省する事を頼まれる。それは彼女のフィアンセの振りをする事だった。田舎の大家族に翻弄される中、健二はメールとして送られてきた数学的暗号を解き、返信してしまう。
翌朝、幼児たちに叩き起こされた健二は、ニュース番組に自分の目線入り顔写真が公開されている事を知る。それは『OZ』のシステムをハッキングし、ネット上だけでなく、それにつながる現実の交通管制や行政システムをマヒさせた犯人としてだった。


基本的には、それほど目新しい話では無いです。古い作品で言えば『ウォーゲーム』とか、そんな感じ。
物語の舞台の一つである仮想都市『OZ』は、とにかくデザイン周りの良さと、圧倒的なアバターの数と、画面に溢れる情報量で力技の説得力を付加した世界観。
その一方で、現実世界の主舞台となるのは長野県上田市。真田家をモデルにした旧家。親族含め、30人近い大家族。空、雲、山、地面、朝が近づくにつれ次第に花開く朝顔、田舎の夏、上田わっしょい。
サイバーテロに対抗する主人公たち少年組と、自分たちの出来る範囲で協力する大人たちの対比。主人公たちが『OZ』でのバトルで世界中から応援を受ける描写がある一方で、お婆ちゃんが昔からの人脈で電話をかけ続ける描写。新しい物と古い物、ネットと現実の双方をきっちり描いている部分がいいね。普通なら、これネットだけで完結してしまいがちでしょうし。
細田守監督は、数年前に『時をかける少女』で高い評価を受けた人。10年ほど前か、何かの評論で劇場版の『デジモンアドベンチャー』について紹介され、そこに『細田守の名前はおぼえておけ!』と書かれていた。
『ヱヴァ破』の上映前予告や、深夜のTV版『エヴァ』再放送枠でも紹介されていて、期待は高まるばかりでしたよ。
ベタな展開なんだけど、「ここで泣いて!」ってシーンでは涙腺が緩みましたし、ある場面では不覚にも頬を伝わりましたよ。
細かい演出やカメラワークも良かった。結構いろんな場面が印象に残っています。キャラクターの数も多い割に、きちんと区別できました。ゴッチャになったのは消防の3人組くらいかな。類型的ではあっても、性格付けがバランス良かったのだと思う。まぁ、キャラの世代も大きく分散していたのと、デザインの貞本さんの功績でもあるのですが。


ネット描写に関して。これだけ仮想都市が発展している世界観なのに、使っているインターフェイスが普通のパソコンにキーボード、携帯、DS(笑)なのね。『電脳コイル』のメガネとまでは言わないまでも、バーチャルと言うからにはHMDくらいは普及していても良かったんじゃないかと思った。入力ディバイスの方もね、箱○ナタルくらいの嘘は許容範囲じゃないかな。
それから、作品の企画が立ったのが数年前だと思うので、しかたない部分もあるのかもだけど、この形で仮想空間が『OZ』レベルまで普及するのは嘘っぽいなぁと。それから『OZ』上でのバトルゲームの主流が格闘ゲーになっているけど、これもね。現状の格闘ゲーに、そこまでの一般的人気は無いからなぁ…。その辺りの感覚が少し古い感じがします。

それから上田市。あまり市街地や上田城が作品中に多く出てくるわけではないので、ロケーション的に特徴が出てなかったですね。遠くに見える山のラインとかは長野っぽかったけど。まぁ、私は上田には高校時代に一度訪れただけなので、そんなにはっきりとは語れないんですが。


内容的に、一般的とは言えないと思います。でも、ここ数年のジブリ作品に比べても、作画のクオリティを除いては十分に優れているのではないかと。
10点評価で9点さしあげます。『ヱヴァ破』とは別なベクトルですばらしかったですよ。
お婆ちゃん、カッコイイ。
キング・カズマ、いいね。リボルテックあたりで商品化されないかしら。
花札、ルールおぼえようかな…