「赤ずきん」


さて、こちら。公開が終わるギリギリのタイミングで慌てて観に行ってきました。

森に囲まれた小さな村に住むヴァレリー。親の決めた婚約者ヘンリーから逃げ、幼なじみの恋人ピーターと村を出る事を決意する彼女。
だが、姉が狼に襲われ亡くなってしまう。毎月、満月には生贄を捧げていたというのに…。
復讐のため、ピーターもヘンリーもヴァレリーの父も、狼狩りに加わり、犠牲を出しながらも狼を退治する。村に戻り祝いを催そうとする男たち。
しかし、浮かれた村に教会の一団がやって来る。名を馳せた人狼ハンターのソロモン神父であった。彼は主張する。お前たちの狩った狼が娘を襲ったのではない。真の敵は人狼であり、今も奴は村人の中に潜んでいる。人狼を退治するまで、この村は閉鎖すると…。


うーん。監督が『トワイライト〜初恋〜』のキャサリン・ハードウィックなので、それ程は期待していなかったんですよね。まあ、『赤ずきん』テーマは好きですし、主演がアマンダ・セイフリードですから。実際、何だかなぁって感じでした。
雰囲気や舞台設定なんかは良いと思うんですよ。中年以上の出演者たちの多くは存在感ありましたし。でも、『赤ずきん』らしさがね、思い出した様にアチコチに振りかけた程度なのですよ。ビジュアル的に重要な「赤ずきん」にしたって、中盤で祖母にもらっただけで重要なアイテムでは無いですし。むしろ、作品中は水色のイメージが強いわ。後は有名な「どうしてお口が大きいの?」のセリフとかね。正直言って『赤ずきん』の意味が薄いわ。
赤ずきん」の狼を人狼にするってのも使いまくられたパターンで。
中盤から村人の誰が人狼なのか?ってミステリー風味が少し混ざるのですが。って言うか、序盤からミスリードのネタ振りが成されているのですが、それもあまり意外性も無かったですしね。で、「魔女狩り」風の展開と。
全体的に中途半端なんですよね。B級ホラーを女性向けロマンス風にしてビジュアルにも力を入れてみました系な。
そう、ヴァレリーとピーターとヘンリーの三角関係もあまり上手に機能してたとは言い難いかな。だって、ヴァレリー自身の気持ちがほとんど揺れていないんだもの。
あと、やたら大きな音で観客を驚かせるのも、作品の雰囲気に合ってなかったと思う。画面を真っ暗にして、次の瞬間にバァーンッ!って音と一緒に大きく口を開けた狼のアップとかね。客層の期待している物と作風がズレているんだよね。まあ、これは日本の配給会社の問題かもしれないけど。
で、「赤ずきん」テーマとしては女性監督なのが裏目に出た感じ。そこに内包されているのは「処女性」だろうと。劇中の設定上は処女なのかもしれないけど、性的すぎるんだよね。そもそも結婚が現実的な年齢なわけだし。根本的に配役に問題が出てくるけど、ここはローティーンにすべきだよ。

で、赤ずきんヴァレリー役はアマンダ・セイフリードです。個人的には彼女目当てで観賞した部分もあるので、その点については結構満足してます。特に目の演技は良かったね。ただ、素材自体が華やかすぎて、赤ずきんのイメージとはかけ離れている気がします。
むしろヴァレリーの親友の娘プルーデンス役の方が私の赤ずきんのイメージに近いかも。下の画像の左から3番目の娘です。この娘も何気ない表情が良かった。

そうそう、ソロモン神父役のゲイリー・オールドマン。本作でも変態チックな演技を魅せてくれてうれしかったです。


10点満点評価で…アマンダ・セイフリードを堪能できた分を加算しても6.5点ってとこですかね。あまりオススメできる作品ではなかったです。


ちなみにTwitterの方でも言及しましたが、「赤ずきん」テーマで一番好きなのは『狼の血族』です。この作品、サラ・パターソンの演じる赤ずきんは絶品。