「SUPER 8」


さて、こちらはエイブラムスにスピルバーグがバックアップした作品。
物語の舞台は1979年のオハイオ州。8ミリカメラで自主製作のゾンビ映画を撮影していた少年たち。ある夜、撮影中に列車事故に遭遇する。必死に逃げ回った少年たちは気付かなかったが、カメラは列車に積載されていたある物の姿を記録していた。
そして、事故の後処理のために軍隊が出動する。同時に、街では不思議な事件が多発する…。


宣伝商材や雑誌の紹介記事に「エリア51」って書かれちゃってますからね。多くの人には事故の裏には何があって、どんな感じの展開になるかはある程度の想像は付きますわな。で、まあ皆が思う事なんでしょうが、『E.T.』や『未知との遭遇』と『クローバーフィールド』なんかをミックスして、ニンテンドーの『MOTHER』で味付けしましたみたいな。
街で何か得体の知れない事件が起きている様は、典型的な怪獣映画の導入部を連想させます。そういう場面の音楽も、何となく東宝っぽく感じもしたり。
そうしたモンスターパニック映画としても基本はきっちりしていて完成度が高いのですが、評価したいのはむしろジュブナイルとしてとても良質なのですよ。
主人公のジョー、ヒロインのアリス、それぞれの家庭は壊れつつあり、その人間関係の再生がテーマの一つとして作品の幹になっている。ここはもうね、ジョーとアリスの演技に尽きるよな。仲間の少年たちも、事件に関してはほとんど活躍してないのですが、撮影シーンを中心ににぎやかしとして良い味を出している。なかなかね、子供がメインなのに、大人が観賞して「子供ウザっ」とかならないってのは希少だよな。

まあ、欠点としてはですね。事件の裏で暴れてる「何か」。それに魅力が全然無いのですよ。姿がチョロチョロ見え隠れして謎めいていた時が一番良かった。全身が見えても、印象に残らない。結末に関しては、「何か」が起こした事件への決着として、これは無しなんじゃないかって気もするのですけどね。人間が「何か」にした事を踏まえて、「何か」が人間にした事を「許す」って事なのかな。その辺りが弱いかな。


この作品での一番の収穫はアリス役のエル・ファニング。何と、ダコタ・ファニングの妹なのですな。彼女が出演した作品も何本か観賞済みではあるのですが、全く記憶になかったですわ。今、13歳ですか。メッチャ可愛いし、演技も上手いし。この娘、かなり期待できるんじゃないですかね。名前を憶えて注目しておくと良いかも。この作品の中でも、駅舎での演技のスイッチの切り替わり方なんて、鳥肌が立ちましたよ。


10点満点評価で8点ってとこですかね。上記した様に全体的には完成度も満足度も高いのですが、評価を下げてしまう部分もあって。最大限にオススメすると肩透かしを食らう人もいるんじゃないかな。この作品で物足りなかった要素は『E.T.』などの他作品で補うのがいいんじゃないかな。