『パターン』認識と演習、そして近未来。

8月16日に小板奈央美さんの出演する舞台、川田十夢さん演出による『パターン』を観てきました。場所は下北沢にある北沢タウンホール。この日だけ1回こっきりの公演でした。

舞台と言っても「普通の舞台演劇ではありません」と小板さん自身がおっしゃってまして、AR三兄弟さんの公式サイトを拝見しましたら何やら色々と面白い事をやっている集団らしくて。これは何かしらのガジェットのお披露目に演出面で役者さんを使うのだろうなと思っていました。200席ほどのチケットも発売から1日半で完売してしまって、色んな方面からの期待の高さがうかがえます。ここまでとは思っていなかったのですが、1回だけの公演なので速攻で購入に動いて正解でした。そして、当日も何とか最前列を確保して堪能する事ができました。


で実際に観てみると半分当たってる感じでしたね。アイデア勝負で次々にガジェットをからめた寸劇をつなげていく感じ。基本的には実現可能なアイデアをスクリーンなどを使って紹介していく流れで、マツモトさんとルキノさん関係が一応本筋、お姫様2人のエピソードが何本か。小板さんはハイブリッド教習所の教官役で、本筋とは関連は無かったようですね。基本的にどの話も演劇というよりコント調な印象でした。個人的にはドローンの恋愛劇がシュールで気に入りました。


小板さんは就職氷河期で見慣れたブラックスーツにメガネという姿で、立ち居振る舞いはキリっと登場したのですだ、時々テンションがはっちゃけていて、これはこれでなかなか新鮮でした。何と言うか、「ハイブリッドよねー」で「一石を投じる」感じでしたね。
演目は2つで、最初は道路標識。ARカードに描かれた道路標識をステージ上に設置されたスマホを介して、背後のスクリーンに映すとその画像が動いてる演出。それに合わせて関連した楽曲が流れ、そこで小板さんがトークでオチを付けるという感じでした。
もう1つは「バタフライエフェクト」的なネタ。「風が吹けば桶屋が儲かる」と「ダンスの授業が義務化されると…?」の話。こちらは特に未来的なガジェットは登場せず、スクリーンでは文章がどんどん流れていきますが、小板さんのセリフと動きだけで空気を支配する感じでした。
それともう一つ、お姫様2人のパートでオキュラスリフトを使って本などの世界に入るエピソードがありまして。基本的にはその物語の映像がスクリーンに投影される演出だったのですが、最後のオチで「リング」の中からサダコが出てきてしまうと。そのサダコも小板さんが演じておりました。
長ゼリフや憶えにくそうな固有名詞とか、完全に1人芝居だった事もありますけど、これはこれで大変で楽しいお仕事だったんじゃないかなと思いましたね。


メインの公演部分は1時間ほど。その後、川田十夢さんと 佐渡島庸平さんによるアフタートークが30分ほどあって、ここで公演で使われたガジェットの裏話や解説がされました。公演だけではピンと来なかった物も、実際にはスゴいアイデアが使われていたんだなあと関心したり。このアフタートークが無ければ面白さは半減してたかもしれませんね。


私は博覧会やミュージアムとかでこういうガジェットを見るのは好きなので楽しめましたけど、演劇の方向で期待していたら評価キツいかもしれないですね。やっぱり本筋があるとは言え、脚本が弱いですし。
私自身は満足しましたが、それは小板さんが出演していたからって事は大きいと思いますし、次回公演でその補正が無いのであれば、うーん…、正直言って行かない可能性の方が高いかなー。