『うみがめくれる』

8月23日の16時と19時半の2回続けて観てきました。

fragment edgeの旗揚げ公演。劇団ドリームクラブの魅杏役でおなじみ、ちゃんはるちゃんこと柳瀬晴日さんが出演しています。
場所は高田馬場。住宅街の中にある小劇場で、この公演の座席数はざっと見て40〜50席といった感じでした。舞台と客席に段差や敷居が無く、ホール内合わせて10m四方くらいでしょうか。私は最前列に陣取っていた事もあって、演者さんたちととても近かったですね。


物語は女子高の美術部を中心にした6人の少女たちを巡り、所謂「百合」がテーマになってますね。
部長に憧れるちづる、そのちづるに近親同性愛を秘めている姉のささ、そのささに恋い焦がれる文学少女みやこ、みやこがささにキスしようとする場面を目撃してしまうかえで、そんな周囲が気になりつつ我が道を往くとも。この6人の心模様を描き、間に彼女たちの心象風景と思われる魚たちの物語「深海編」が挿入されます。


ちゃんはるちゃん演じるみやこは哲学にのめり込んでいる成績優秀な文系少女なのですが、思い込みが激しくて暴走しがちな面が感じられましたね。黒髪ロングで声も綺麗で、どことなく儚さを感じる表情で、たまらないくらいの美少女っぷりでした。
みやこがささに告白する直前、1回目に観た時は占いネタで「ああ、こういう一面もあるキャラなんだなー」と軽く思ってたのですが、それが2回目に観た時は思いっきり変えてきて「フリードリヒ・ニーチェっ!」と予想もつかないネタを披露してくれまして、本気で爆笑してしまいました。
「深海編」でちゃんはるちゃんはケガをしている白魚を演じていて、かえでの小魚が陸を目指す道中で最後に会い、そして一緒に歩き出す相手として登場します。
よくわからない「愛」に憧れるかえでと、ささへの想いに傷ついたみやこが一緒に歩き続ける地上の物語とリンクしているわけですね。


心象風景としての少女と魚のリンクと言えば、6人がそれぞれ自分の抱えてる問題を寓話的な形で表現している様に感じましたね。
海と地上のどちらをも選べるのに安全牌な海を選んでしまう人魚と、絵の道に進まず普通の大学に進学する部長。空を自由に飛ぼうとするも、大きな船に逃げ惑う事になり、結局は水の中に戻されるしかない飛魚と、部長に憧れる一方で悩みを抱えるちづる。
でも描写としてはわかりにくい部分もあり、この「深海編」にもう少し時間を配分できればもっと面白くなったのではないかと思いました。
台本も購入してますので、この辺りに関しては自分なりにゆっくり考察してみたいなと。


やっぱりピュア紳士勢としてはちゃんはるちゃん推しになるのは必然なのですが、他の5人の出演者たちもみなさんとても良かったです。
みなさん演技上手いなあと思って圧倒されていたのですが、その中でも個人的にはちづる役のシミズアスナさんと、とも役の田中佑果さんに魅かれましたね。微妙な表情の変化とかちょっとした仕草とか、いつの間にかそういう部分を目で追いかける様にこの2人を観ていました。…いや、一番観ていたのはちゃんはるちゃんの事ですけど(汗 …うん、魅杏とも全然違うし、他の舞台でもいろんな役を演じてこられて、ちゃんはるちゃんマジ演技派女優ですわ。


この作品はけっこう荒削りな脚本だとは思いますが、「百合」に対する気持ちというのはとても感じられました。「百合」好きの方ならぜひ機会があれば目にしてほしいと思います。
通販で台本が購入できますし、9月6日には一部だと思いますが公演内容の映像配信が始まります。先日のツイキャスでは公演のDVDの販売も検討するとおっしゃってましたので、期待して待ちましょうか。
Twitterアカウントの@umigamekureru08 と@awatomo0115をチェックしていれば情報を得られると思います。


終演後は演者さんたちとの面会タイムと物販が設けられてまして、そこでけっこう長くちゃんはるちゃんとお話させていただきました。外見は超絶美少女みやこなのに、素に戻ったちゃんはるちゃんの楽しい事。
そうそう、19時半の回では劇団ドリクラの黒須みらいさんと沖田亜依さんも観劇にいらしていて、このお2人も交えて楽しくお話させていただきました。その他の回でも分散して劇団ドリクラのみなさんが観劇されていた様ですね。
まあ、みらいさんと小板さんで「観に行きたい」みたいな話を以前にやり取りされていましたので、もしかしたら会えていたかもしれないと思うと少し残念ではありますが…しゃーないですな。


fragment edgeの次回の公演は「スフィリア(仮)」と題されているチラシが座席に置いてありました。バタイユも引用されていて、背徳的でとても興味深いですが、物語の内容はまだ変わっていくとの事。こちらもぜひ観に行きたいと思います。