「火消哀歌」初感(重要なネタバレなし)あるいは観劇のススメ

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山下聖良ちゃんの出演する舞台『火消哀歌』初日公演を観てきました。…と、いつもなら千秋楽後にだらだらと長い感想記事を書くところなのですが、最近ちょっと集客とか公演のプロモーションの事を考えてまして。千秋楽後にいくらアピールしたところで終わった公演にはお客さんは呼べないわけで。

 

そこで、なるべく早期の段階で、実際に観劇した視点から、重大なネタバレを避けて、観てない人&観るかどうか悩んでる人&観る予定がそもそも無い人へ向けた感想記事を書いてみようかなーと思った末が今回です。

 

 

・『火消哀歌』内容以前に

 2018年8月15日〜21日まで池袋のシアターグリーン BIG TREE THEATER(南池袋公園の近くにあります)で上演されている舞台作品です。過去に何度か上演された作品の再演のようですね。公演回数は全11回。座席数は140くらいでしょうか? なので全公演でのべ1500人くらいのお客さんしか観劇する事ができません。客席は良い具合に段差があるので、どこの席でも十分に観易いと思います。

上演時間は約2時間、途中休憩無し。

チケット代はA席の当日券の場合で7300円。

みなさんは舞台観劇経験はありますでしょうか?おそらく観劇初心者や未体験者にとってのハードルの1つがチケット代だと思います。単純に比較できるものではありませんが、映画鑑賞の4倍ですし、ディズニーランドのパスポートと同じくらいですしね。こればかりは観た人自身が楽しめたかつまらなかったかの感想でチケット代が納得できるか損したと思うかが違ってきますので客観的には何とも言えません。一般的な感覚で安くはないですが、同じくらいの規模やキャスト数をそろえた舞台と比較しても妥当な価格帯だとは思いますし、それでもまた観たいと思ってリピートする人もいるわけです。

出演キャストは25名と、台詞などの無いダンサー数名。彼らが入れ替わり立ち替わり舞台上で生の演技を魅せてくれる、もちろん2時間の上演台本は頭に入って、お互いの演技が有機的に影響を及ぼし合って、公演回ごとに微妙に差異が生じるライブ感。そういった、今この瞬間でしか観る事のできない各回一度きりの贅沢、それが映画とはまた違った舞台の魅力です。

そしてキャストさんたちの演技の質も、ストーリーも、舞台演出も、観ている私の感情を揺さぶってくる、観て良かったと思える作品でした。

笑いあり、泣きあり、エンタメ性あり、キャストさんたちも魅力的、ストーリーも理解し易い。今まで一度も観劇した事の無い人でも最初の作品としてオススメできる舞台だと思います。

 

 

・『火消哀歌』どういった作品なのか

時代劇ですが、刀で斬り合う殺陣のあるような作品ではなく、火消し衆と花魁を中心にした町民劇です。ただし時代考証はきっちり固められたものではなく、現代外来語や流行りのギャグネタなども台詞に織り込んでいるゆるい世界観(正直言って私はこうした作風は好きな方ではありません)です。

全体の構成としては前半は観客をつかむためかコミカルな描写が多め。そんな中で主要キャラの性格や人物像などを上手く描写していると思います。

火消し側と花魁側、積み重ねて描かれる群像劇。それが徐々に加速し、後半に大きな事件と観客の涙腺を崩壊させる展開ラッシュが待っています。

舞台セットはシンプルな物で見立てによって観客にロケーションを想像させるようにしてあるのですが、キャストさんたちの熱演と照明の演出によってクライマックスの一連の場面は本当に迫力で圧巻でした。

それと、何度か挿入されるダンスシーン。遊女に扮したダンサーたちの妖艶で華やかな事。エンタメ性を付加するという点において良いアクセントになっていたと思います。

 

 

・『火消哀歌』キャストさんたち

ぶっちゃけると、山下聖良ちゃん出演が観に行った理由です。彼女の演技、演じた お文ちゃんという役も期待に応えてくれた素晴らしさだったのですが、それは後日の記事でまた書きます。

 

聖良ちゃん以外のキャストさんで私が以前に舞台を観た事があるのは、おそらく助六役の桑野晃輔さんだけだと思うのですが、みなさんすぐ役柄の個性を把握できるくらい魅力的な方ばかりでした。(ああ、でもこの「まっさら」な状態で観劇できるのは初回だけですからね。次からは最初から今回受けた印象が残っちゃってるわけで)

男性はイケメン揃い。女性も可愛い綺麗系と、コミカル寄りに徹してとても味のある方たち。男が男として、女が女として、決める時には自身の意志や生き様を貫きとてもカッコ良いキャラたち。これはみなさんそれぞれにファンがつくのわかるなと思える良質なキャストさんたちでした。このキャストさんたちの演技を観られるだけでも、私はチケット代の元はとれたと思いました。

 

男性キャストだけの舞台、女性キャストだけの舞台というのもたくさんありますが、今回の作品のように両性がバランス良く配置されていて、母親役などのように少し上の年齢層の女優さんも起用されているのが観ていてとても良い空気を感じました。

 

 

・『火消哀歌』観劇をオススメします

重要なネタバレに触れずに、『火消哀歌』を紹介してみました。

拙い文章で、この作品の魅力を伝えるには不十分だとは思いますが、いかがでしたでしょうか?

この作品を好きになる。「舞台演劇」という媒体を好きになる。この公演を行なっている団体を好きになる。出演されているキャストさんたちを好きになる。そういった入り口に、とっかかりに、十分なり得る魅力的な舞台だと思います。

初日公演を終えて、この記事を更新した時点で残りの上演回数は10回です。あっという間にすぐ千秋楽を迎えてしまいます。

もし少しでも興味を持っていただけましたら。お財布とお時間に予定を組み込む余裕がありましたら。観劇を検討していただけると、この記事を書いた私も嬉しいです。

あなたに良き観劇体験がありますように。

ありがとうございました。

 

・公演日程

2018年8月15日(水)~8月21日(火)

8月15日 (水)19:00

8月16日 (木)19:00

8月17日 (金)14:00/19:00

8月18日 (土)13:00/18:00

8月19日 (日) 13:00/18:00

8月20日(月) 14:00/19:00

8月21日(火)  14:00

※受付開始は開演の60分前、開場は開演の30分前

・会場

シアターグリーン BIG TREE THEATER
〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-20-4 5F

その他の詳細は以下リンク先へ↓

平成時代劇 片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」第二十三回本公演「火消哀歌」 | 株式会社アリー・エンターテイメント