「トランスポーター3 アンリミテッド」


観てきました。ずっと楽しみにしていた作品です。
リュック・ベッソンの名前を出しているシリーズなので、前2作を観ている人もそこそこいるのでは? 配給会社はこの最新作で客層を拡げたいのか、公開直前に前2作を続けて地上波で放送しました。また、タイアップしている様で、AudiのCMでも『トランスポーター3』の映像を使用してアピールしてましたね。
劇場での上映前にも、他作品の予告を減らし、5分弱の『トランスポーター コンプリートガイド』なる前2作のあらすじ映像を流してました。パンフでも見開き2ページ使って前2作の紹介してるし。アスミック・エースは本気か?
主役の魅力的な肉体派ハゲ、ジェイソン・ステイサムも、日本ではまだまだ知名度は低いかと。主演作も何本か公開されましたし、ブルース・ウィリスが『ダイ・ハード』で有名になった様に、ボチボチ認知されてもいいと思うんですけどね。少なくとも、私は彼の名前だけでも作品を観ようとする程度には好きです。


物語はこんな感じ。フランク・マーティンは元軍人の運び屋。ある夜、彼の部屋の壁を破り、1台の車が突っ込んで来る。それはフランク自身が依頼を断り、彼の代役として紹介した運び屋マルコムだった。瀕死のマルコムを搬送する救急車は、発車してすぐに爆発炎上してしまう。マルコムと、同乗していた女にはブレスレットが装着されており、それは車から20メートル離れると爆発する代物だった。
背後から殴られ気絶するフランク。意識を取り戻した彼の腕にもブレスレットが…。
現われた依頼人ジョンソン。そして、改めて仕事を「依頼」される。
内容は鞄の移送。条件は赤毛の女の同乗。目的地は走行中に指示する。最初の目的地はミュンヘン
フランクは途中でコースを無視し、爆破装置を外すため知人のエンジニアの元へ向かう。そして反抗的なフランクを従わせようと、刺客が送り込まれた…。


ストーリー自体は深くないです。フランクとは別に、依頼人のジョンソンがある人物に接触しているのですが、そちらを見れば誰でも物語の根幹は想像が付くはず。まぁ、リュック・ベッソンが自身で監督しない作品は話が薄っぺらい傾向にあるのですが。その分、そこそこ爽快感のあるアクション映像を楽しむのが正しい観賞方法だと思います。
このシリーズも、見所と言えば何と言っても主役のジェイソン・ステイサム。彼の愛嬌のある表情や仕草と、足技と周囲の道具や地形を利用した一風変わったアクション。そして見応えのあるカーチェイスでしょうか。その全てが決してリアルでは無い、「おバカ」という調味料をたっぷりと使ってみました仕上がり具合。
前2作では、『トランスポーター』というタイトル、「運び屋」という設定から想像する程は、カーアクションは多くありませんでした。車の魅せ場は前半だけで、後半は生身のアクション重視。ところがこの3作目では、車から離れたら爆発という設定があるため、終盤まで車が活躍します。逆に生身パートでは「おバカ」要素が薄れ、映像が細かくカット割りされる事でテンポは良くなった物の、アクション自体の動きがはっきりと見れない、方向性が違っちゃっていますね。まぁ、これは監督が変わってしまった事によるのでしょうけど。
個人的に一番高揚したのは中盤の場面。ある理由からフランクが乗車していない状況で車が発進します。それはフランクの爆死を意味します。フランクは傍らに置いてあった自転車に跨り、街中を人々の間を擦り抜け、建物の中を突っ切り、必死で愛車を追いかけます。ここは最高でしたね。


依頼人ジョンソンを演じるのは『プリズン・ブレイク』のロバート・ネッパー。少しゲイリー・オールドマンっぽい感じもしましたけど、悪役としては印象が弱かったかも。
ヒロインのヴァンレンティーナを演じるナターリア・ルダコワは演技経験無しの新人。リュック・ベッソンにスカウトされての起用だとか。全くの素人と考えれば演技が出来ている方だとは思いますけど。鼻の形と、顔中に拡がるソバカスが目立っていて、あまり魅力を感じなかったなぁ。1作目のスー・チーが可愛かったから比較してしまうし。
それからセーム・シュルトがジョンソンの部下の一人で出ているんだけど、弱っ! 


私の評価は10点満点で7点かな。それもジェイソン・ステイサム萌えのブースト効果で+1点した点数。その位置付けで良いと思うけどね。ジェイソン・ステイサム萌えが無い普通の人なら、イロイロと観た作品の中で埋没しちゃうレベルだと。気軽に観ながら「ねーよっ!」とツッコミまくる作品。
まぁ、私は十分に楽しめましたし、それでも1作目が一番好きなのですが。
そうそう、宝くじが当たったら、Audi A8が欲しくなるかも。


リュック・ベッソン系では、今週末にも『96時間』を観に行く予定。
ジェイソン・ステイサム主演作では、9月に『アドレナリン ハイ・ボルテージ』が公開します。