「GAMER」


こちらの作品も上映劇場が少なく、MOVIXさいたまでの観賞です。


物語の舞台は2034年。今より仮想現実世界を発展させた社会。そこでは死刑囚を生身のプレイヤーキャラとして実際に殺し合いをさせるネットゲーム「スレイヤーズ」が流行っていた。平均10回のセッションで死亡するゲームだが、30セッションを生き残ったキャラは恩赦が与えられ自由の身となれる。そしてトップキャラのケーブルとプレイヤーのサイモンは27回目のサバイバルを達成できた…。


生身の人間同士がゲームで殺し合い、それを観戦して楽しむというデストピアテーマは目新しい物では無い。例えば『バトルランナー』であったり『デスレース』であったり。だがこの「スレイヤーズ」ではゲームの舞台である限定空間において、キャラクターの意志よりも外部にいるプレイヤーの操作が優先される。プレイヤーのミスや遅延によって、キャラは紙くずの様に死んでいくのだ。
一方、「スレイヤーズ」のシステムの元となる仮想現実世界「ソサエティ」がある。こちらは『シムズ』の様な感覚で、やはり生身の人間を自分のアバター代わりとして自由に動かせる。限定空間の中で他のキャラと会話したり踊ったりスポーツしたり愛し合ったり。もちろんこちらもキャラクターたちは自分の意志を奪われ他のキャラとセックスさせられたりしている訳だ。
世界中の善意の人々が、ネットを介す事で無自覚に他者の人権を蹂躙する。「スレイヤーズ」でヘッドショットされ、バラバラの肉片になる。「ソサエティ」の極彩色の狂った世界で享楽に耽させられる。
この辺の世界観や堕落した感覚は良いと思うんですけどね。ストーリーが雑なんだよね。特に話が動き始めてからの後半。最後の戦いも今どきこんな展開は無いだろと思ったし。アイデア優先で、煮詰めずに勢いで作っちゃった感じかなぁ…。
FPSやTPSが好きな人は「スレイヤーズ」のシーンは気に入るかな。操作はキネクトをさらに発展させた様な感じでした。
まぁ、カメラはブレるしカット切換えも多いし、映像効果もうるさいしで、かなり観てて疲れる作品ですけどね。


そうそう、この映画の監督、脚本、製作総指揮をしたマーク・ネヴェルダインブライアン・テイラーは『アドレナリン』を撮ったコンビです。だからカメラワークや演出は、『アドレナリン』に似ている部分がかなりありましたね。
あと、クラブシーンのDJ演じてたのがエフリン・ラミレス。『アドレナリン』&『ハイボルテージ』のラテン双子の片方ね。エフリンはどっちだったっけ?


10点満点評価で6点かな。『アドレナリン』で期待すると痛いです。予告トレーラーが一番面白そうに編集されているパターン。まあ、オススメはしないですけど、上映劇場は少ないですし、上映自体もすぐ打ち切られちゃいそうなので、どうしても観たい人は急いだ方が良いです。スクリーンの迫力と音響くらいしかメリットは無いですけど。それ以外の人はレンタルじゃなきゃ入場料分は楽しめないと思います。
けど、私は嫌いじゃないんで。おバカ映画は好きだし。DVDは買っちゃうかも。あ、裸とかエロシーンはそれなりに多いです。