朝一で行ってきました。
本来はチェック外だったのですが、ここ最近は映画館に行く度にこの作品の予告を繰り返され、根負けした次第です。
原作は『朗読者』というベストセラーだとは知っていましたが未読。内容も全く知りませんでした。
当初は観る気が無かった訳で、無防備にも雑誌の紹介記事などは目にしてしまい、ヒロイン自身の秘密と、彼女が過去に何をしたかについては観る前に知ってしまう事に。そのため、作品内でその事について明らかになる場面で、衝撃度が薄れてしまった事は確かですね。
この作品を観る予定の方は意識してネタバレを回避してもらった方が良いと思います。
ですから、私も深く突っ込んで書けないんですよね。


1958年のドイツ。15才のマイケルは急病になった所を36才のハンナに助けられる。やがて2人は男女の関係となり、いつしか行為の前にマイケルはハンナに本を読んで聞かせる様になった。ある日、ケンカ別れをした後、ハンナは姿を消す。
1966年。大学の法学科で学ぶマイケルは、ゼミの授業で裁判を傍聴する事になるが、その被告席にいたのはハンナだった。
6人の被告の内、ハンナだけが不利な証言をしてしまい、彼女が首謀者とされてしまう。彼女自身の抱える秘密がそれを否定する証明となるのだが、彼女はそれを明らかにする事を恥じ、自ら罪を認めてしまう。他の5人が懲役4年3ヶ月なのに対し、ハンナは無期懲役の判決が下った…


前半、2人の睦言が繰り返し描写されるのですが、観ているのが結構ツラかったです。もう少し短くても良かったんじゃないかとも思いますが、後半への伏線も仕込みもありますし。2人、特にハンナの演技や表情が深い意味を含んでいまして、後半に畳みかけてきます。
前半の甘い展開からガラッと変わり、後半はかなり重い作品内容に変化していきます。
裁判で不利な証言を平気でしてしまうのも、ハンナ自身の秘密が根本的に彼女の性格を形成してしまっているのだと思います。ある理由で、彼女は読書をする習慣が無く、物語を楽しみ広い世界に思いを寄せる事を知らず、視野が狭くなってしまった。仕事と毎日の生活だけに支配され、想像する事に慣れていないのでしょう。
物語の終盤で、マイケルと再会するハンナ。そこでマイケルの問いにハンナは、犯した罪の事を考えた事が無いと答えます。思い出す必要の無い事だからと。その時の彼の反応から、ゆっくりとではありますが、自分に本当に欠けていた物を自覚したのではないでしょうか。それが、彼女にある行動を取らせる事に…


何だかんだ言って、深く書いてしまったかなぁ。
最後のシーンでマイケルが娘と一緒に訪れる場所が、前半にハンナと訪れていた場所だと気付いた時は胸にグッと来ましたね。余韻の残る、良い終わり方だと思いました。
10点評価で8点ですね。前半がちょっとアレだとか、大人マイケルの行動が淡々としていてタイトル的な「愛」を感じないとか難点もありますし、作品の内包するテーマ自体が日本の一般層にはアピール弱いんじゃないかとか、諸々あって9点には届かない感じです。
また、原作と比較してどうかも私は判断できないので。原作より描写が良くなっているのか悪くなっているのか。あ、でも結末とか知らない方が良いので、原作は未読のまま観賞する事をオススメします。
でも、やっぱり…『愛を読むひと』ってタイトルはイメージが違うよなぁ。
それから『ワルキューレ』と一緒で、作品内はドイツ語のはずなのに英語がデフォなんですね。『ワルキューレ』程では無いですが、多少は違和感を感じます。


ハンナ役のケイト・ウィンスレットは、この役でアカデミー賞主演女優賞を受賞。私は、彼女の出演作は『タイタニック』くらいしか観た事が無いので、あまり良い印象が無かったのですが、確かに素晴らしい演技でした。
他の配役だと、マイケルの大学の教授役のブルーノ・ガンツが『ヒトラー〜最期の12日間』のヒトラー役。原告側の娘役をしているアレクサンドラ・マリア・ララが、同じく『ヒトラー〜最期の12日間』で秘書役をしていました。




とりあえず今月は6本で打ち止めの予定。なかなかのハイペースで映画館に通ったと思います。
予定していた内、『真夏のオリオン』は現時点で観る気が失せてしまったのでレンタル待ちに。『エヴァ破』は川口に来なかったってのもあるけど、客足が落ち着いてからゆっくり観たいので来月に回します。
スカーレット・ヨハンソンからみで『それでも恋するバルセロナ』を少し観たい感があるので考慮中。
来月新作では『モンスターVSエイリアン』が観たいですな。個人的に好みのネタなので。
7月は上記の作品に加え、時間に余裕があったら『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009』で何本か観賞したいと思ってます。ここも、私の自宅から歩いて行ける距離なんですわ。