「大決戦!超ウルトラ8兄弟」

メビウス&昭和4兄弟のM78系ウルトラマンと、平成初期三部作…いわゆる光系ウルトラマンの共演。
本来は世界観が違うため、パラレルワールドという反則を使っている。
そのため、メビウス以外は本物ではない。一応は別世界の本物である自分との記憶の共有があるけれども。
細かい事はともかく、こういう企画ではないがしろにされがちなティガ、ダイナ、ガイアをピックアップし、しかも本物のキャストを出演させた事が快挙だ。前作の映画では黒部進ら「ダンディ4」を集結させたが、吉岡毅志はともかくとして、V6の長野博と、何かと話題なつるの剛士だよ。
こういう特撮ヒーロー番組の出演歴って、ある程度のポジションに昇り詰めると『黒歴史』化しますし、本人たちには思い入れがあったとしても、大抵、事務所が許可しないものです。
特にジャニーズの寛容さにビックリ。本人の出演どころか、V6まで新しい主題歌を歌ってるし。まあ、今回はダイゴが主役の扱いだからかもしれないですけどね。
ストーリー展開はツッコミたい箇所が山ほどあるけど、許します。だって、お祭りとして最高の出来だから。
ヒロインたちもきっちり全員出演し、それぞれと夫婦、カップルという設定。アキ、夕子は娘役に実の娘を持ってきている。そうそう、この作品ではハヤタとレナも含め三組の親子共演が実現している。
岸田森さんの遺影にも涙腺が刺激される。
あちこちに、過去作品を観ていればピンとくる様な小ネタが溢れていて、ファンにはうれしい。
だから、子供たちよりも、古くから観ている、あるいは小さい頃に観ていた大人たちの思い出に語りかけてくる作品だと思う。TV『メビウス』第1話において、初めて人々の前に姿を現したメビウスを見て、興奮し、喜びを表現していたのは大人たちではなかったか。


そして、私にとっての感激はダイナ。プロフィールなどにも書いている様に、私のHNの元ネタであるウルトラマン
最後は宇宙の彼方に消え、生死不明のまま。そしていつの日にか帰ってきて欲しいと願い続けている彼が。
アスカがリョウやヒビキ隊長と一緒に笑っているよ。もう、それだけで泣いた。


この映画にはスタッフの愛情が込められていると思う。
今の円谷プロは結局の所は過去の遺産を食いつぶしている感がある。
最終的には昭和ウルトラ頼りだ。けれど、『メビウス』に関しては遺産を大切に織り込んで作品を作っていたと思う。
そうして作品への姿勢を大事にしてくれる限り、私はいつまでもウルトラのファンでいたいと思う。