「曲がれ!スプーン」


結局、購入しちゃいました。映画版と、同時発売の舞台版の両方を。
ちなみに、映画版の劇場観賞時のレビューはこの日の日記をご覧ください。
このDVDを観賞する前に『サマータイムマシン・ブルース』を再視聴した事もあり、両作品でリンクしている部分を始めとして、小ネタを結構チェックできましたね。初見ではなかなか気付かないものですなぁ。神様とか、ヴィダル・サスーンとか、ラストの病院での蜘蛛とか。
まぁ、作品の感想としては、劇場観賞時と大きく変わる事は無いですけどね。


映画版ではADの桜井米サイドの視点が大きな割合を占めていたのに対し、舞台版での彼女は脇役でしかない。物語の流れとしては基本的に同じではあるのだけど、最後の展開の意味が違ってしまう。映画版では、超常現象ビリーバーである桜井が、その信じる心を否定され続けてきて。今回も徒労に終わってしまった彼女に、不思議な事はあるんだよ、だからあきらめないで信じ続けてもいいんだよ、と元気づける意味でのエスパーたちの行動である。対して舞台版では、「エスパーなんているわけないですよね」と言ってしまう桜井に対して、プライドを刺激されたエスパーたちが行動に出てしまう。これから休む間も無くロシアに飛ばなければならない彼女への親切心も幾分かは含まれているだろうが。映画版ではエスパーたちは桜井に好意的な部分が強調され、舞台版では疎ましいマスコミ側の人間でしかない。脚本は同じ上田誠さんが担当しているのだけど、本広監督の好みか、あるいは長澤まさみをヒロインにしている影響か、映画版の方はハートフルなアレンジがされている。まぁ、ラストのアレとの遭遇の場面はヤリスギでうんざりするくらいなんだけどね、映画版。舞台版がエスパーたちの視点に固定されているのは、舞台が「カフェ・ド・念力」の店内オンリーという事もあるか。
舞台版の方はオーバーアクション気味になっているので、少しドタバタ感が増している。逆に映像演出で強調する事が難しいためか、伏線などのアピールが弱い。初見だとマスターがらみの伏線なんか気付きにくいんじゃないか。
ヨーロッパ企画の舞台のDVDを観賞するのは2本目だが、この作風はかなり気に入った。いずれ他の作品も観てみたいし、実際の公演を観賞したいとも思いました。