「赤星昇一郎×藍乃聖良 朗読イベント」

10月8日、下北沢のピカイチでのイベントです。聖良ちゃんの初のワンマンライブですね。
最初に聖良ちゃんの1人芝居である「夢で逢えた(ら)」、その後にカフェのオーナーである赤星昇一郎さんと聖良ちゃんの2人での朗読「歳をとった鰐 のはなし」の順だったはずです。
「夢で逢えた(ら)」は「ノイローゼ」の時にも観てますし、動画でも繰り返し視聴してるのですが、やっぱりこの可愛さはたまらないですね。聖良ちゃんと言えばこの作品というくらい定番化するのかもしれませんが、まだ安定してるわけでもなくて、台詞飛んだりもしてましたし、今回は涙もこらえていましたし、芝居はその回その回が違った物になる生ものだと改めて実感しました。
とにかくテンポ良く、ガンガンと玲奈ワールドに引き込まれていくのですが、水族館での「記憶」をきっかけに雰囲気が一転してからの落とし込みは本当に見事だと思います。以前に美波さんもおっしゃてましたが、この聖良ちゃんを間近で観たらみんな彼女に夢中になりますよね。


そして、赤星さんとの朗読「歳をとった鰐 のはなし」。聖良ちゃんは「いつまでも、鰐」というタイトルで表記してますが、ググってみたら同じ作品の邦題違いですね。今までに多くの女優さんが赤星さんと一緒に演じてきた定番の作品だとの事です。
赤星さんは主役のワニを、聖良ちゃんは同じ群の中のワニと東北弁のタコを演じてます。物語はちょっと不思議な味わいのある淡々とした内容で、孤独感と本能と、もしかしたらちょっとだけ愛?な感じ。実は人間に当てはめてみたら深い事を描いてるのかも。
赤星さんが読み始めると一気に場の空気が変わった気がしました。それほど迫力と存在感はスゴかったです。朗読とはただ演技を付けて読む事だと思っていましたが、しばらく無言で黙っている場面もあって、読まない時間を作る事での演出もあるんだなと観ていてゾクゾクしましたね。私は時々情景を思い浮かべるために目をつぶって聴いていたのですが、赤星さんが表情や目線でも演技してる事に気づいてからはずっと2人の事を観て聴いてました。
その迫力を緩和する感じで聖良ちゃんのほんわかした声が良い感じに場のバランスを取っていた様に思いました。赤星さんも聖良ちゃんの事を「可愛い」って言ってましたね。

終演後のお話タイムでの聖良ちゃん。
この日は同じ劇ドリのマリリン役の柚木成美さんと演出の深寅芥さんも観にいらしていて、いろいろとお話させていただきました。

予約特典としていただいた聖良ちゃんのブロマイド2枚。

そうそう、この日はハロウィンが近いって事もあって、聖良ちゃんにケーキの差し入れをしました。新宿ミロードにあるアリスカフェのチェシャ猫ケーキ(ともう1つ)です。ちなみに同じケーキを後で卯野ちゃんと沖田ちゃんの時にも差し入れています。

『MOTHER マザー〜特攻の母 鳥濱トメ物語〜』


9月21日に観てきました。この1週間前の『Life Pathfinder』と全く同じ場所の新国立劇場の小劇場です。
大林素子さん主演によるこの作品、毎年公演されて今年で6年目の様ですね。出演者総勢50名を超える大舞台でした。
私は劇団ドリクラ2代目アイリ役の藍乃聖良ちゃんが出演するという事で観に行きました。


舞台は終戦間際の鹿児島県知覧町にある軍指定食堂の富屋食堂で、その食堂の女主人の鳥濱トメと特攻隊員たち、その周辺の人々の物語です。
主に何人かの特攻隊員の心情を中心に丁寧に、それぞれの家族、トメさんと娘さんたちとの対話を通じて、彼ら特攻隊員たちがどういう想いを胸に飛び立っていったか、そして残されていった者の想いが描かれています。実話を基にしていて、作中で引用される手紙なども実在する原文のままだそうです。
そういう流れですから、前半は次々と涙腺が崩壊しそうになって困る展開が続きますね。
でも彼らは…特に隊長の台詞で語られるのですが、彼らは決してだまされて特攻するのではなく、勝てるとも思っていなくて、軍上層部がより良い判断を決めてくれるまでの時間かせぎだと。それが自分たちの大事な人たちの未来を守る事につながるのならと。これは行動の形こそ違いますが、『アナと雪の女王』でオラフが見せた「自己犠牲」という「真実の愛」に通じるところがあると感じましたね。
その愛の形も様々で、自分が死んでも妻に再婚してほしくないと訴える者もいれば、自分が死んだら形見などと考えなくていいからさっさと換金して学費にしなさいという兄もいる。最後の夜に婚約者と籍だけでも入れようとして親と言い争いになる者もいれば、何かあった時に守ってやる事ができないから籍を入れないという者もいる。在日朝鮮人のため英霊として讃えられる事もなければ祖国からも叩かれるのをわかった上で自分から特攻に赴く者。残される家族のために自分の階級が上がるまで機体に細工をして特攻を先延ばしにし、「卑怯者」と罵られ殴られながらも耐える者。そういった各々のドラマが深く描写されていて観応えがありました。


後半は一転して、戦後。敗戦国となった日本にとって特攻は恥ずべき行為で、特攻隊員たちも軍部にだまされた愚か者だと。それに対して、その様な手のひら返しは間違っているとトメさんは反論するわけします。
その後、富屋食堂は今度は進駐軍の指定食堂になります。言葉も通じず、好き放題に振る舞う米兵の描写はとても緊迫感のある幕開けをし、そんな彼らへのトメさんの堂々とした対応に少しコミカルな要素も加わって、前半での涙必至の空気が緩和されていきます。とは言っても、この後半でも回想という形をとって特攻隊員たちの事は描かれ、米兵と特攻隊員たちのイメージが重なり、どちらも同じ様に戦争という悲劇に翻弄されながらも一生懸命に生きようとしたという点で何も変わりのない若者たちだという事が伝わります。
そして、食堂の中で特攻隊員たちと米兵が仲良く肩を組んで談笑する幻が描かれ、スクリーンには実際の特攻の映像が次々に映し出され、やがて現代の渋谷の風景へ。
バックに流れているのは一青窈の「ハナミズキ」…「僕の我慢がいつか実を結び 果てない波がちゃんと止まりますように 君と好きな人が百年続きますように…」
最後にまた、もうとめどなく涙腺崩壊の演出です。前半も終盤も、観客席のあちこちからすすり泣いている音がずっと聴こえてきた舞台でした。


特攻という行為は戦争において愚策ですし、決して美化できる物ではないと思います。でも、それによって散って行った特攻隊員たちは上層部に操られるだけのただのコマではなく、彼らもちゃんと自分の人生を生き、それぞれの意志を持っていた、それがしっかり伝わってくる舞台でした。
でも特攻や靖国というテーマは重いですし、ある種の抵抗を感じるのも事実で。聖良ちゃんが出演していなかったら自分から進んで観ようとは思わなかったでしょう。10代20代っぽい観客も多く見かけましたが、おそらく彼らも出演者目的だったのでしょうね。けれど、Twitter上で目にした感想などはとても好意的な物ばかりで、何かしらを感じる事ができた満足度の高い良い観劇体験だったと思います。
この作品から自分が感じた事は「平和」の意味はもちろんですが、「1人1人の生き方の大事さ」「他人を大切に想う事」「失った物は戻ってこないが、やり直す事はできる」などでしょうか。
この舞台の時代から、戦後から70年が経とうとして、私たちの日本の日常は一応は「平和」を維持できています。でもこの70年、世界のどこかしらでは何らかの紛争が続いていて、本当の「平和」が来た事などは一度も無いのだと思います。
いつかその日が来るのかわかりませんが、この様なテーマの作品を通じて、時には「平和」の意味について考えてみる事も大事なんだろうなと思いました。



さて、藍乃聖良ちゃんです。聖良ちゃんは女学生、なでしこ隊の1人である森要子役でした。
この舞台では20名ほど女性が出演していまして、その中ではもちろん主役のトメさんと2人の娘さんが出番が多いわけです。次に特攻隊員の家族たち、母親だったり妻だったり婚約者だったり妹だったり、彼女たちはそれぞれの隊員のストーリーに深く関わってくるために目立つわけですね。
なでしこ隊の少女たちは食堂に通って隊員たちをなごませる様な役割で、前半に舞台上にいる事が多いものの、実際にはモブに近いポジションでした。
ところが、聖良ちゃんの演じる要ちゃんは特攻隊員の1人である柴田(「特命戦隊ゴーバスターズ」のレッドバスターを演じていた鈴木勝大さんです)に恋い慕う設定なので、彼に関わる形でとても目立っていましたね、なでしこ隊の中でも突出するくらい。後半の戦後の場面でも登場していましたし。
最初になでしこ隊が登場するのは隊員たちに特攻人形を渡す場面なのですが、そこでは柴田だけ渡されないままなのですね。それを要ちゃんが気づくわけです。そして戸惑う様な、いたたまれない様な、悲しい様な表情。食堂内が明るく盛り上がっている中で、なでしこ隊の中に1人だけ反応の違う要ちゃんがとても印象深く訴えてきます。最初から存在感のあるキャラでした。
その後も幾つかの場面で1人だけ単独で動く事もあり、本当に重要でおいしい役だったと思います。
ただ、物語の性質上ね、笑顔の場面もあちこちで見られるのですが少ない。多くの場面では戸惑って、悩んで、悲しんで。そういう観ている側の心を不安に揺さぶる演技が中心だったのですね。作品の時代性と役柄もあって、大きく感情を表現できるわけではない、そんなギリギリ寸止めな演技がとても良かったです。


当日は幕張メッセTGSが開催されていて、劇団ドリクラのイベントもありました。聖良ちゃんはこの『MOTHER』があるためにそちらは欠席。私も「ピュア紳士の1人くらい聖良ちゃんにつき合って、今までがんばってお稽古してきた舞台を観てあげてもいいんじゃないか」と思ってこちらを選びました。その選択が報われるだけの甲斐と価値は十分以上にありました。
とても素敵で、可愛くて、真摯で、健気で、舞台にかける一生懸命さが伝わって来て本当に観に行って良かったです。
終演後にロビーで聖良ちゃんと少しお話をして、写メを撮らせていただきました。一瞬を切り取った画像も可愛いのですが、やはり私の腕とスマホじゃ力不足で、実際に動いて話してる聖良ちゃんマジ可愛いので、機会があれば積極的にイベントに足を運びたいですね。
と、余談ですが…この時に次回のドリクラライブでアイリとチェキを撮る約束をしてしまいました。玲香さん以外はダメという想いを貫くつもりだったのですが…目の前で聖良ちゃんに「チェキ撮りましょうよ」言われて断れませんわ。うん、アイリだけ特例で(汗

『ライフパスファインダー』


9月13日、初台にある新国立劇場の小劇場THE PITで観てきました。『Motion Rock Opera 2014 The Fate of… Life Pathfinder』です。
いや、劇団ドリクラ出演者関係では全くありません。この作品を知った経緯はちょっとややこしいのですが、ある映画に出演している女優さんに注目してTwitter上でフォローしまして、そこから彼女が出演するこの舞台を知ったと。で、作品概要…ストーリーや作品の特徴などを読んで興味を持ち、チケット一般販売を待って早速購入した次第です。


第3セクター「グランドシップ」内にある、人類支援型ヒューマノイド開発チーム。そこで開発された最新型ヒューマノイド「TARO」。彼が開発チームや周囲のクルーたちとの交流を通し、「自分らしさ」とは何かを手探りしていく物語です。
出演者は29人で、TARO、TAROの開発チーム、旧型のジョージ、ジョージの開発チーム、所長や管理官などの管理職、警備班、清掃班などに分かれていて、それぞれがTAROに影響を与えたり、お互い同士で交流したり、あるいは一丸となってトラブルに対処したりと、次々に色々なエピソードが起きて飽きない構成になっていましたね。
TAROに恋愛感情を抱く開発者の女性、TAROとジョージの意識のズレ、開発から警備に移った男性と自分の仕事に限界を抱く女性、男性と女性の意味を問いかけるジェンダーの男性、ジョージと旧開発チームのつながり、管理職の苦悩、などなど。そうした出来事から様々な物を吸収し、誕生から1年。シップに起きた事故に対してTAROが最後に選んだ行動…。


私は元からアンドロイドテーマや創られた生命や人工知能などが好きですので、この作品を観ている間にも繰り返し胸に突き刺さってくる印象を受けましたね。実際に2つの場面ではマジ泣きして観ていました。
ドリクラのアイリと重ねて観てた事もあるかもしれませんね。


この舞台は初演が2008年だったそうで、それから細部をバージョンアップしつつ6回目の公演になるんですね。
出演者が多い事もあってか、舞台も高所あり、場合によってはバルコニー席のすぐ横にもキャストが陣取って演技する様な形で、とにかく立体的で動きがあって観応えありましたね。エピソードの中心となるキャラ以外でも、画面のアチコチでそれぞれがキャラらしい演技や表情をしている事が多くて目で追うのが大変でした。
そして「Motion Rock Opera」と銘打ってるだけあって、音楽は舞台の正面奥にドラムセットを設置してのロックバンドによる生演奏。公演の要所要所でキャラたちが熱唱しだすというライブ感。歌もダンスもふんだんに織り込まれていてとても楽しかったです。
光を使った演出もカッコ良くて、ステージ自体はラボというよりは宇宙船のガレージ内部の様な鉄骨で足場を組んだだけの様な物ですが、それがとても無機質な感じを出していて良かったですね。
OPの演出も、出演者たちが手にした懐中電灯の灯りが会場中を乱れ走ったと思えば一点にピタっと集まって、スポットライトの様に特定のキャラを浮かび上がらせるのを繰り返したりとか。
中盤でジョージが暴走するイベントがあるのですが、そこで使われたのがマッチ。逃亡と追跡を演出する中で出演者たちの手に次々に小さな炎が灯って、それが流れる様に消えていく演出は鳥肌出るほどカッコ良かったです。


あとは小さな事ですが、「終演」ではなく「終焉」と表記していたり。開場から開演までの時間が普通の公演なら30分とかなのに、これは46分だったり。1幕と2幕の間の休憩が10秒、2幕と3幕の間の休憩が12分。で、公演時間は142分。この不自然な時間設定、たぶんこれって何かの数字に関連付けているんですよね?
それから出演者の何人かが客席案内や物販を務めていたりとか、開演前の諸注意案内にやたらとネタが仕込まれていたりとか。とにかく観客を楽しませようとするこだわりを随所に感じました。来年も公演あるならまた観に行きたいですね。



さて、私が今回この舞台を知り、観に行く目的となった女優さんは嘉悦恵都さんでした。旧開発班の加賀心寧さん役。旧開発班というポジションもあってあまり目立たないかと思ってましたが、とんでもない。とにかく何かにつけて細かく動いていて小動物の様で観ていて楽しかったですし、恵都さんは声楽科の出身という事もあってか、実際に歌を聴いてて歌唱力が高いと感じましたし、それで舞台上には8本くらいマイクがあったのですが、だいたいいつもその前でメインボーカル組に入っていましたね。
終演後、ロビーで恵都さんにあいさつして、少しお話とサインをいただきました。恵都さん、マジで可愛いです。映画などのお仕事も続いている様で、何か情報が入る都度、TwitterでRT拡散して微力ながら応援させていただきたいと思います。
そうそう、恵都さんはバーガーキングのイメージガールもされていまして、You Tubeの公式チャンネルにいくつか動画が挙がってますのでよろしければご覧ください。→BKChannel


で、私はTVとかホントにあまり見ないので、観た映画とかに出てる役者さん以外は疎すぎるくらいなのですが。この舞台にもステキな出演者さんがたくさん出ていまして。管理官役の小野妃香里さんは演技にも迫力あるし歌もかなり上手いなと思っていたら95年から02年までセラミュに出ていた方だったり。そもそもヒロイン役の小原春香さんは元AKBメンバーだったり。TARO役の咲山類さんも有名で人気な方なんですね。塩月綾香さんも元宝塚。…観た後にTwitterで「嘉悦恵都さん以外は不勉強で名前を存知ない人ばかり」とつぶやいてしまって大恥をかいてしまいました。(汗
そんな中で、一番印象に残ったのがエリザベス・マリーさんという方で。この人も後で調べて知ったのですがベッキーの従姉妹で、TVなどにも出てるんですね。
エリザベスさんの演じた須磨英理という役は清掃チームなのですが、幕開けの時などにチーム4人で前に出て来て観客を作品へと導く役割も務めてました。10秒の休憩の時には一緒に伸びをしたりね。
あるいは作品の中でも場をリードする事があったり、ある案件で決を取る時にも自己主張したり。青いツナギに腰にタオル、手にモップ。キャラ性は姉御系、でもダンスや歌はとてもキレがあって素敵。けど朝の体操的ダンスの時にはキャラを活かしてやる気なさげなダラダラした動きだったり。
この作品の中で一番好きなキャラでしたね。エリザベスさんの事もちょっと気になったので、早速Twitterでフォローさせていただきまして、積極的に追いかけるとまではいきませんが、何かの機会があればエリザベスさんの出演する舞台やステージをまた観たいと思いました。

『マザー4』


また感想記事が遅れてしまい失礼しました。
9月6日、渋谷のギャラリーLE DECOで劇団エリザベス番外公演『マザー4』を観て来ました。
作:k.r.Arryさん、演出:深寅芥さんという舞台ドリームクラブでもおなじみのコンビで、2代目魔璃役の柚木成美さん(なーちゃん)も出演されています。
(余談ですが、この公演を観る直前までマリリンつながりで横浜聖地巡礼してきました。ハッシュタグ「#横浜ラプソディー2014」で連続投下していますので、よろしければご覧いただければと。


物語が展開されるのは基本的にはエレベーターの中。先に3人の女性が乗っているエレベーターの中に1人の女性が乗り込んできて5階で降りる。その短い時間が延々と繰り返しループする事から物語は始まります。
掃除婦の豊澤さん、金髪ヤンキー娘の柚木さん、不思議ちゃん風な服装の関戸さん、そして乗り込んでくるOL風が嶋垣さん。関戸さん以外の3人は役者名がそのまま役名になってますね。
で、時間がループされるわけですが彼女たちにはその記憶が残っていて、異常な状況に気づき、このループから抜け出そうと色々と検証し試し…という展開です。序盤はキャラたちのコミカルなリアクションも目立ってコメディ路線なのかなと。それが各キャラのバックボーンが明らかになり、それぞれが内に抱えてる物がわかってくると作品の印象が一気に変わり、これは運命という呪縛から逃れようともがき、囚われた悲しみという殻を突き破ろうとする物語なんだと気づく。
実はこの4人は血縁で別々の時間軸から集められていました。1985年の豊澤さんの娘が2010年の嶋垣さん、その娘が2035年の柚木さん、そのひ孫が2101年の関戸さん。関戸さんが自分の境遇を変えるためにお婆ちゃんたちを集めて運命の連鎖を断ち切ろうとこの状況を作りだしたという事です。
4人は状況が進む中でお互いの事を知り、自分を見つめ直し、自分の生きてきたこの人生も大切な自分自身であり、その運命をも抱きしめて前を向いて歩こうと、そういう考えに辿り着きます。
過去は変えられないけれど、未来は変えられる。それが次の世代の「過去」を変え、それが別な形で連鎖していく。そんな物語だと私は受け取りました。


物語の性質上、初観時にはネタバレを一切回避してまっさらな状態で観るべき作品ですが、けっこう伏線らしき物も序盤から仕込まれていましたので、それはそれで検証しつつ楽しみたい気もします。いつか再演あればいいですね。
エレベーターの中という状況舞台は大掛かりなセットも不要で低予算で作れますし、登場キャラの人数も限定できますし、それでいて効果的に緊迫感を演出できますから映画などでもいろんな作品が作られているのですよね。
公演が行われた会場もビルの5階で、これも作品とシンクロした感じで良かったです。
エレベーターの階数アナウンスの「5階です」というのがループの度に繰り返されますが、これが一度だけ「5階でした」になりまして、この時の出来事をもう一度観て細かく検証したいんですけどね。で、この差異がずっと気になってて。この「5階」というのは「誤解」との2重の意味を持たせているのではないか?そうすると「誤解」を繰り返して「誤解」に囚われて「誤解」から抜け出ようとする物語なのだなとツイートしましたら、深寅芥さんから「その通りです」とリプをいただきました。


豊澤さんは4人の中でも一番コミカルな描写が多い感じで、体当たりな演技も多かったですね。自分の事よりも他人の事を考えて動くタイプ。だから大切な人を失った時には絶望して自殺をしてしまいますが、他の人と共に状況を変えるためなら率先して飛び込んでいく事ができるんですね。孫に当たる柚木さんとのコンビもよくはまっていて、観ていて楽しく強い印象に残る人でした。
嶋垣さんは一番まともに見えて実は内面に異常性を孕んでいるタイプ。それが少しだけ見えた時はちょっと怖さを感じましたね。そして物語を大きく変えるキーとなり、関戸さんとの掛け合いはとても素晴らしかったです。
関戸さんは一見飄々としていて考えている事が掴めない印象から始まりましたが、後半で自分をさらけ出してくる辺りから魅力に溢れてきましたね。
それぞれが別のタイプによる4人の掛け合い、そして豊澤さんと柚木さん、嶋垣さんと関戸さんというペアで異なった空気を魅せてくる演出は物語にグイグイと引き込む魅力がありました。


さて、やさぐれヤンキー娘の柚木さん。序盤の内はそれこそ刃物の様なギラギラした感じがあって、近づき難い雰囲気を出していたのですが。それが電話をした辺りから変化を見せてきます。電話の内容が、その相手との「別れ」を意味し、それが精神的な拠り所を失う事になるわけです。そこから「もうどうでもいいや」感が出てある行動に出ます。心は空っぽになってしまいましたが、それからしばらくのループでは行動に引っ張られる形になるわけですね。そして他の3人との関係性が明らかになっていき、他者とのつながりを意識して、そして「生きる」という事に真正面から向き合う様に変わって行く。その演技の変化は観ていて見事だと思いました。
そして実際に展開を切り拓いていく役割は豊澤さんの行動が目立っていましたが、要所要所でその起点となる発言をしていったのは柚木さんが多かったと思うのですよね。あの子は境遇からして今までに色々な経験を積んでいるだろうし、学歴とかは関係なくとても頭のいい子なのだと思いましたね。

終演後になーちゃんとお話させていただきました。
ドリクラライブvol.3の時は接客と数曲分のステージだけでマリリンの役作りは存分に発揮されたとは言い難かったのですが、この終演後になーちゃんにお会いして、この人の役作りのレベルはスゴいんだな、舞台女優としてとても才能のある人なんだなと感じました。
さっきまで観ていたヤンキーの柚木さんと、目の前にいる素に戻ったなーちゃんとではもう顔が別人にしか見えませんで、もちろんそれはマリリンの時とも違って。声も柔らかくなって、目も優しくなって、メッチャ可愛いんですよ。思わず某女児向けアニメのキャラみたいですねと言ったら照れまくっちゃって。(そう言えばあのキャラの名前「ミューズ」にも「ゆず」って入ってますね)Twitterではそれなりにからんでもらっていたので、素のなーちゃんがどういうキャラなのかはわかっていましたけどね。
今まで劇団ドリクラのキャストさんを中心に何人かの舞台演技を観てきましたが、なーちゃんが一番スイッチが切り替わって役に入り込むタイプだと思いましたね。
ドリクラを知っている方ならわかると思いますが、マリリンというキャラのセリフやリアクションも、自分の世界を創ってその中に浸っている感じがとても強いので、演じるのってかなり難しいと思うのですよね。でも、なーちゃんならマリリンはしっくり来る適役なんじゃないかと感じました。だから、今のライブという形態はマリリンにはホントにもったいないと思うんですよね。マリリンを中心としたストーリーと、その役作りのこだわりを舞台できっちりと堪能したいですよ。
いや、これは劇団ドリクラに限らずね。他の舞台に出演される時はまた観に行きたいと思いました。

で、31日の下北沢ピカイチに続いて劇団ドリクラの2代目受付さん役の美波友利さんにエンカウント。今回も近くに来ていただくまで全く気づかなくて失礼な事を。いやー、ホントに私って周囲を見ていないんですね(汗)
次の機会こそ先に気づくようにします。

『最高の夏にしようねノイローゼ』

8月30日と31日、下北沢にあるReadingCafeピカイチでの公演を観てきました。
以前から舞台ドリクラのナオ役の青木満理子さんが出演されていて興味があったのですが、今回は2代目アイリ役の藍乃聖良ちゃんも出演されるとの事で、これは外せないチャンスと思って行って来た次第です。
ところでこのピカイチは特撮ファンにはおなじみの俳優、赤星昇一郎さんが店主さんをなされているお店で、朗読劇を中心とした小さな公演をカフェの店内で行っている形態ですね。公演時の座席は15席ほど。赤星さんご自身はカフェタイムにはドリンク類を入れてくれる一方で、公演中は照明操作などの役割なども担っていらっしゃいました。


さて、今回の公演は5人の女優さんによる1人芝居と朗読劇で、7つのプログラムが日替りで構成されていました。そのうち2回の公演で5本観る事ができました。
30日のソワレは安川まりさんの「発光」、藍乃聖良ちゃんの「神様」、青木満理子さんの「ジョゼと虎と私たち」。
31日のマチネは安川まりさんの「発光」、栗又萌さんの「路上のメリークリスマス」、藍乃聖良ちゃんの「夢で逢えた(ら)」でした。


「発光」は主人公の彼氏が暗闇で光る人で、その彼氏との別れと、数年後に同じ様に光る身体を持った女性と出会う話。朗読劇で、丁寧に感情を込めて、光の方を優しく見つめて、別れの時には泣いて、そして微笑んで、恋愛のせつなさが伝わってくる作品でしたね。


「神様」は小さなクマのぬいぐるみの形をした神様を拾った事から始まる女子高生の物語。お腹を空かせて倒れていた神様を助け、その代わりに何か願いを叶えてあげようと。その願いを考えるまで一緒に行動するという流れですね。自分で神様を動かし、友達3人のセリフも演じ分けているので、朗読劇ではありますが動きを感じる作品でした。温度の低い等身大の女子高生、勝手に動いていく周囲に何となく流されていく感覚、そしてとても日常的な事に帰結していく願い。とても可愛らしさが出ていて良かったです。


「ジョゼと虎と私たち」、同名の映画作品(池脇千鶴さん主演)が作中に登場しますが、この作品の内容とはそれほど関係の無い感じ。千葉の道路を走っている車の中、空回りしている男女の関係、それを疾走感あるラップを織り込みつつ圧倒的な空気に観客を包んでいく1人芝居。ナオ以外の満理子さんの演技を初めてまともに観た様な物だったので、表情の付け方やセリフの発し方のさじ加減のスゴさに感動しました。




で、終演後はそのままお店として営業が続く感じで、追加のドリンクを飲みつつ、出演者のみなさんとお話できました。
お2人にはいつもの様にVITAのドリスナで2ショットをお願いしました。
満理子さんとは実は初めて直接対面させていただきましたが、ずっと笑顔を絶やさない方で、この公演の役とも完全にスイッチが切り替わって、もちろんナオとも違ってて、とても魅力的です。


聖良ちゃんは、ドリクラライブvol.3を実際に観るまでは、実はそれほど注目はしていなかったのです。女の子らしい女の子だなーとは思っていたのですけどね。ツイッターやブログでも積極的にツッコミ入れたくなるほどの強烈な個性も出していませんし。
それがアイリのステージを観てハートキャッチされたわけですが。今回の公演は芝居という面では少し特殊ではありますが、演技力の奥行きは感じましたね。
そして終演後の時も、とにかく会話をガンガン拾ってつないでいきますし、ちょっとした事でもすぐリアクションを返してくれましたし、とても頭の回転の早い子なんだと思いました。オーディションの小ネタや「アナ雪」の再現、ヤンキー聖良なんてのも魅せてくれまして、引き出しをいっぱい持っていて多才なんだなと感じました。実際に動いてる姿を見ないと、なかなか彼女の魅力は伝わらないかもしれないですね。でも、私の劇団ドリクラ2期メンの中でのイチ推しが聖良ちゃんになったくらいですから、それだけどこかしらに彼女の輝いている部分があるのだなと何となくでいいので注目していただければうれしいですね。


さて、翌日です。前日はギリギリ到着だったために隅っこの席でしたが、この日は余裕もって出かけて最前列のど真ん中を確保しました。なので、演者さんと近い。距離にして2mくらい? ホント、すぐ目の前の手が届きそうなほど近くで演じてくれて、椅子に座っている様な状況だと観客席と目線の高さまで一緒ですからね、この臨場感はたまらないですね。お気に入りの演者さんが出演するとなればハマって通い詰めたくなる気持ちもわかります。赤星さんが出演される時もぜひ行ってみたいですね。


「路上のメリークリスマス」、感情表現を淡く語る演技にこちらの胸をグサグサと刺される感。しかも真正面に視線を固定して語る場面でははっきりと私を視られている様な錯覚がして、つい目をそらせてしまいました。
わりとテンション高めな友人との演技分けもリズムに変化が生じてとても良かったですし、終盤の何とも言えないせつなさはたまらない物がありましたね。


「夢で逢えた(ら)」、藍乃聖良ちゃんではなく松井玲奈ちゃんとしての作品。男子校に玲奈ちゃんが転校してきて、男子生徒と恋に落ちてという甘い作品。まあ「あり得ない」話ではあるのだけど、そこは早いテンポと玲奈ちゃんの可愛らしさに引っ張られてツッコミ入れる余裕無いほど引き込まれます。
そして終盤、玲奈ちゃんが泣く事になるのですが、それを一番の特等席で観ちゃいましたからね。ここ時の没入感はかなり高まってました。少し前から目が潤んできているのがわかって、セリフが進むにつれて涙があふれてきて、それが頬を伝わるの、それをすぐ目の前で堪能できましたから。完全にクリティカルでしたわ。
ホント、この子は素晴らしいなと。


1人芝居や朗読劇って、通常のお芝居とは表現の方向性も少し違うし、演技に別の要素も要求されていて、これはこれで難しいんだなあと思いましたね。何より共演者を頼りにできない、自分だけで空気を作って世界を作っていかなきゃならないんですからね。演技の緩急がよりはっきり浮き出して見えるんじゃないかなと感じました。それに、同じ作品を別の人が演じた場合、よりその人の個性が表面に出てくる様な気もしますね。



さて、31日は終演後に帰宅してすぐ出勤しなければならない状況でしたので、長居する時間がありませんでした。
ところが、(聖良ちゃんに紹介されるまで全く気づかなかったのですが)この回に劇団ドリクラの2代目受付さん役の美波友利さんが観に来ていまして。少しだけですけどお話をさせていただいて、聖良ちゃんと友利さんの2ショット写メも撮らせていただきました。友利さん、メッチャ優しそうで可愛くて癒し系って印象ですね。ありがとうございました。

『うみがめくれる』

8月23日の16時と19時半の2回続けて観てきました。

fragment edgeの旗揚げ公演。劇団ドリームクラブの魅杏役でおなじみ、ちゃんはるちゃんこと柳瀬晴日さんが出演しています。
場所は高田馬場。住宅街の中にある小劇場で、この公演の座席数はざっと見て40〜50席といった感じでした。舞台と客席に段差や敷居が無く、ホール内合わせて10m四方くらいでしょうか。私は最前列に陣取っていた事もあって、演者さんたちととても近かったですね。


物語は女子高の美術部を中心にした6人の少女たちを巡り、所謂「百合」がテーマになってますね。
部長に憧れるちづる、そのちづるに近親同性愛を秘めている姉のささ、そのささに恋い焦がれる文学少女みやこ、みやこがささにキスしようとする場面を目撃してしまうかえで、そんな周囲が気になりつつ我が道を往くとも。この6人の心模様を描き、間に彼女たちの心象風景と思われる魚たちの物語「深海編」が挿入されます。


ちゃんはるちゃん演じるみやこは哲学にのめり込んでいる成績優秀な文系少女なのですが、思い込みが激しくて暴走しがちな面が感じられましたね。黒髪ロングで声も綺麗で、どことなく儚さを感じる表情で、たまらないくらいの美少女っぷりでした。
みやこがささに告白する直前、1回目に観た時は占いネタで「ああ、こういう一面もあるキャラなんだなー」と軽く思ってたのですが、それが2回目に観た時は思いっきり変えてきて「フリードリヒ・ニーチェっ!」と予想もつかないネタを披露してくれまして、本気で爆笑してしまいました。
「深海編」でちゃんはるちゃんはケガをしている白魚を演じていて、かえでの小魚が陸を目指す道中で最後に会い、そして一緒に歩き出す相手として登場します。
よくわからない「愛」に憧れるかえでと、ささへの想いに傷ついたみやこが一緒に歩き続ける地上の物語とリンクしているわけですね。


心象風景としての少女と魚のリンクと言えば、6人がそれぞれ自分の抱えてる問題を寓話的な形で表現している様に感じましたね。
海と地上のどちらをも選べるのに安全牌な海を選んでしまう人魚と、絵の道に進まず普通の大学に進学する部長。空を自由に飛ぼうとするも、大きな船に逃げ惑う事になり、結局は水の中に戻されるしかない飛魚と、部長に憧れる一方で悩みを抱えるちづる。
でも描写としてはわかりにくい部分もあり、この「深海編」にもう少し時間を配分できればもっと面白くなったのではないかと思いました。
台本も購入してますので、この辺りに関しては自分なりにゆっくり考察してみたいなと。


やっぱりピュア紳士勢としてはちゃんはるちゃん推しになるのは必然なのですが、他の5人の出演者たちもみなさんとても良かったです。
みなさん演技上手いなあと思って圧倒されていたのですが、その中でも個人的にはちづる役のシミズアスナさんと、とも役の田中佑果さんに魅かれましたね。微妙な表情の変化とかちょっとした仕草とか、いつの間にかそういう部分を目で追いかける様にこの2人を観ていました。…いや、一番観ていたのはちゃんはるちゃんの事ですけど(汗 …うん、魅杏とも全然違うし、他の舞台でもいろんな役を演じてこられて、ちゃんはるちゃんマジ演技派女優ですわ。


この作品はけっこう荒削りな脚本だとは思いますが、「百合」に対する気持ちというのはとても感じられました。「百合」好きの方ならぜひ機会があれば目にしてほしいと思います。
通販で台本が購入できますし、9月6日には一部だと思いますが公演内容の映像配信が始まります。先日のツイキャスでは公演のDVDの販売も検討するとおっしゃってましたので、期待して待ちましょうか。
Twitterアカウントの@umigamekureru08 と@awatomo0115をチェックしていれば情報を得られると思います。


終演後は演者さんたちとの面会タイムと物販が設けられてまして、そこでけっこう長くちゃんはるちゃんとお話させていただきました。外見は超絶美少女みやこなのに、素に戻ったちゃんはるちゃんの楽しい事。
そうそう、19時半の回では劇団ドリクラの黒須みらいさんと沖田亜依さんも観劇にいらしていて、このお2人も交えて楽しくお話させていただきました。その他の回でも分散して劇団ドリクラのみなさんが観劇されていた様ですね。
まあ、みらいさんと小板さんで「観に行きたい」みたいな話を以前にやり取りされていましたので、もしかしたら会えていたかもしれないと思うと少し残念ではありますが…しゃーないですな。


fragment edgeの次回の公演は「スフィリア(仮)」と題されているチラシが座席に置いてありました。バタイユも引用されていて、背徳的でとても興味深いですが、物語の内容はまだ変わっていくとの事。こちらもぜひ観に行きたいと思います。

『パターン』認識と演習、そして近未来。

8月16日に小板奈央美さんの出演する舞台、川田十夢さん演出による『パターン』を観てきました。場所は下北沢にある北沢タウンホール。この日だけ1回こっきりの公演でした。

舞台と言っても「普通の舞台演劇ではありません」と小板さん自身がおっしゃってまして、AR三兄弟さんの公式サイトを拝見しましたら何やら色々と面白い事をやっている集団らしくて。これは何かしらのガジェットのお披露目に演出面で役者さんを使うのだろうなと思っていました。200席ほどのチケットも発売から1日半で完売してしまって、色んな方面からの期待の高さがうかがえます。ここまでとは思っていなかったのですが、1回だけの公演なので速攻で購入に動いて正解でした。そして、当日も何とか最前列を確保して堪能する事ができました。


で実際に観てみると半分当たってる感じでしたね。アイデア勝負で次々にガジェットをからめた寸劇をつなげていく感じ。基本的には実現可能なアイデアをスクリーンなどを使って紹介していく流れで、マツモトさんとルキノさん関係が一応本筋、お姫様2人のエピソードが何本か。小板さんはハイブリッド教習所の教官役で、本筋とは関連は無かったようですね。基本的にどの話も演劇というよりコント調な印象でした。個人的にはドローンの恋愛劇がシュールで気に入りました。


小板さんは就職氷河期で見慣れたブラックスーツにメガネという姿で、立ち居振る舞いはキリっと登場したのですだ、時々テンションがはっちゃけていて、これはこれでなかなか新鮮でした。何と言うか、「ハイブリッドよねー」で「一石を投じる」感じでしたね。
演目は2つで、最初は道路標識。ARカードに描かれた道路標識をステージ上に設置されたスマホを介して、背後のスクリーンに映すとその画像が動いてる演出。それに合わせて関連した楽曲が流れ、そこで小板さんがトークでオチを付けるという感じでした。
もう1つは「バタフライエフェクト」的なネタ。「風が吹けば桶屋が儲かる」と「ダンスの授業が義務化されると…?」の話。こちらは特に未来的なガジェットは登場せず、スクリーンでは文章がどんどん流れていきますが、小板さんのセリフと動きだけで空気を支配する感じでした。
それともう一つ、お姫様2人のパートでオキュラスリフトを使って本などの世界に入るエピソードがありまして。基本的にはその物語の映像がスクリーンに投影される演出だったのですが、最後のオチで「リング」の中からサダコが出てきてしまうと。そのサダコも小板さんが演じておりました。
長ゼリフや憶えにくそうな固有名詞とか、完全に1人芝居だった事もありますけど、これはこれで大変で楽しいお仕事だったんじゃないかなと思いましたね。


メインの公演部分は1時間ほど。その後、川田十夢さんと 佐渡島庸平さんによるアフタートークが30分ほどあって、ここで公演で使われたガジェットの裏話や解説がされました。公演だけではピンと来なかった物も、実際にはスゴいアイデアが使われていたんだなあと関心したり。このアフタートークが無ければ面白さは半減してたかもしれませんね。


私は博覧会やミュージアムとかでこういうガジェットを見るのは好きなので楽しめましたけど、演劇の方向で期待していたら評価キツいかもしれないですね。やっぱり本筋があるとは言え、脚本が弱いですし。
私自身は満足しましたが、それは小板さんが出演していたからって事は大きいと思いますし、次回公演でその補正が無いのであれば、うーん…、正直言って行かない可能性の方が高いかなー。